企業変革関連の活動(活動記録から抜粋)
■ISLのビジョンとミッション(2004年11月5日)
先日ご紹介したISLの向谷さん、東さん、松本さんがやってきました。
活動を広げていくために、ISLのビジョンやミッションを見直していると言うことだったので、
それに関する意見交換をさせてもらうことにしたのです。
代表の野田さんはじめ、この活動に関わっているメンバーの熱い思いが、前回伝わってきたので、
少し本気で議論してみたいと思ったのです。
議論の再現はやめますが、
いま、大きな時代の変わり目の中で、これまでの延長で考えていていいのか、
現在のリーダーたちは本当にこれからのリーダーたりえるのか、
今の社会にもし問題があるとしたら、それは今のリーダーたちの考えの結果なのではないか、
などなど、かなり辛らつな意見を述べさせてもらいました。
少し撃ちすぎたかなと反省したのですが、とてもうれしいメールがきました。
佐藤様の真剣なまなざしとお言葉に、
自分自身に火がついたように感じております。
私にとっては、最高にうれしい言葉です。
向谷さんたちのこれからの活動が楽しみです。
私も少しは責任をとらなければいけませんが。
■ ISLの野田智義さん(2004年10月12日)
ISLは、Institute of Strategic Leadershipの略で、新しい社会のリーダーの育成に取り組むNPOです。
創設した野田智義さんのキャリアはとても興味深いものがあります。
欧州経営大学院戦略経営担当教授からの転身です。
詳しくはホームページでご覧ください。
テレビでも話題になった、高校生たちとマレーシアのマハティールとの出会いの場をつくったり、
次世代の戦略的リーダー養成プログラムを展開しているグループです。
そうしたリーダーたちのコミュニティづくりに取り組んでいますが、
コミュニティという言葉のご縁で、野田さんと3人のスタッフの方がやってきました。
福岡大学の田村馨さんが私に会うことを勧めてくれたそうです。
田村さんは、福岡市のある委員会でご一緒したのですが、
私のことを記憶してくださっていて、時々情報を送ってくれるのです。
野田さんたちとはかなり「青臭い」議論をしました。
意味のある議論をするためには、言葉で語るのではなく、言葉の含意する実体で語らなければいけません。
そうした議論はめったにできません。
みんな言葉だけでの空疎な議論をする癖をつけてしまっているからです。
しかし、野田さんはどうもそうではないようなので、言葉の質問から始めました。
おかげで約束の予定が倍以上になってしまいましたが、とても刺激的な時間でした。
最近のビジネスリーダー養成の動きには不満があります。
価値観と社会性が欠落しているからです。
その原因の一つは、米国流の組織起点の経営理論に立脚しているからです。
そこには、かつての日本の経営にあった「三方よし」「他利自利円満」の考えはありません。
あるとしても「社会貢献」の思想です、二元論発想ですから、ホリスティックな思考が不在です。、
しかも「貢献」などとは、本末転倒としか思えません。
それで果たして、これからの企業経営はいいのか。
私には疑問があります。
言葉だけは綺羅星のごとくきれいに並べられていますが、実体の議論はあまり感じられません。
その証拠に昨今の経営者には倫理やビジョンを感じられません。
そして日本の産業の健全性は回復していないように思います。
相変わらずの儲け過ぎと儲け隠しが横行しています。
真面目な中小企業にシワ寄せしながらです。
いつか書き込んだように、日本の経営は3流に堕ちています。
主体性がないのです。
問題を起こした企業の経営者の反応をテレビで見れば納得してもらえるでしょう。
経営者にも「道」が必要だといって経営塾を開いたのは、市川覚峯さんです。
これが経営道フォーラムですが、残念ながら最近は研修プログラムになってしまっています。
今まさに、新しい経済界のリーダーや社会のリーダーが求められています。
いや、リーダーではなく、リーダーシップかもしれません。
いうまでもなく、リーダーとリーダーシップは別のものです。
私が野田さんに興味をもった理由は、
野田さんが企業の「株主価値」を研究していて、それに少し問題を感じたというお話を聞いたからです。
企業価値が議論され出した時に、ほとんどの人は米国経営学の流れの中で、
キャッシュフローとしての企業価値、すなわち株主価値を話題にしました。
しかし大切なのは、社会にとっての存在意義としての企業価値です。
それを忘れた日本の経営学者の視野の狭さが日本の企業をダメにしてきたように思います。
経営を守銭奴たちに明け渡したと言ってもいいでしょう。
その典型が金融業界です。今の銀行は昔の銀行ではありません。
企業とは一体何か。そのミッションは何か。経営とは何か。働くとは何か。
そうしたことをしっかりしていないで企業を経営できるわけがありません。
野田さんたちの活動が、そうした認識のもとに、新しいリーダーを育てる場づくりをしようというのであれば、ぜひ関わりたいと思います。
一度、野田さんたちが何を目指しているかをテーマに議論させてもらうことにしました。
面白い議論ができそうで、とても楽しみです。
■ アクサムの南山宏さんと最近のブランディングの動き(2004年10月13日)
アクサムの南山さんとはもう15年くらいの付き合いですが、久しぶりに彼のオフィスを訪ねました。代官山にあります。
南山さんはCIの世界で仕事をしています。
新鮮さと若さとコンセプト重視が強みです。
最近あることで、彼の仕事振りに触れることがありました。
その感想を話しに行ったのです。
私は最近、企業のCIの実務からは離れています。
しっかりしたプロジェクトであれば、やりたいのですが、残念ながら出会えないでいます。
それに最近のCIが、ブランディングやマーケティングにあまりにシフトしているのが納得できずにいます。
私にはそれこそが退化しているように思えるのです。
ちなみに、15年ほど前に書いたCI関係の小論を掲載しました。
関心のある方はお読みください。
古い物ですが、残念ながら事態は進化していないように思います。
最近のブランディング理論やメソドロジーもまた、米国流の20世紀型経営手法に乗っ取っているのです。
ブランドエクイティを金銭的資産価値で評価する発想は、おそらくもはや終わろうとしている概念でしょう。
ところが、今や日本のブランディングで大きなプロジェクトに取り組んでいるのは、
欧米の企業のメソドロジーを導入した外資の息がかかっているところのようです。
第一、ブランディングのテキストの多くが米国人によるものであり、あるいはそれをなぞった大学教授のものです。
もっと日本の実践の場にいるコンサルタントが自らのメソドロジーを創出しなければいけません。
そんな話を久しぶりにしたわけです。
アクサムのホームページをぜひご覧下さい。魅力的な作品がたくさん見られます。
■ 東レ経営研究所の渕野富士男さんとMOT(2004年9月9日)
渕野さんは、かつて東レでCIに取り組んだ時の同志です。
今は東レ経営研究所の役員の一人です。
さまざまな社会活動に取り組んでいるほか、自分の生活をしっかりもっている、新しいタイプの企業人です。
ソーシャルアントレプレナー養成講座に巻き込んでしまい、そのミーティングに参加してくれたので、
その後、久しぶりに食事をしました。
いま、MOTに関心を持っているようです。
MOT(Management of Technology)には、私もある思いがあります.
1970年代末に私がまだ東レでCIに取り組む前に、技術の問題に関心を持っていました。
東レという会社をとっても、たくさんのデッドテクノロジーが山積みでした。
東レは技術の会社だったのです。その技術を経営的に活かしていきたい、
そのためにマーケティングの風土を高めなければいけないと考えていました。
当時、私は経営企画部という組織にいましたが、研究所にかなり出入りしていました。
上司に、研究所に転籍してほしいと頼みましたが、駄目でした。
それがCIに取り組む一つの動機でした。
取り組み出した頃、米国のMITで、製造業の復活の研究報告書が発表されました。
確かそれを訳したのは東レ経営研究所の関係者でした。
私はCIにのめっていましたので、横目でしか見えていませんでしたが、魅力的なテーマでした。
日本でもさまざまな研究が行われ、東レの先輩たちも関わっていました。
わたしもかかりたかったのですが、それどころではなく、分厚い報告書をもらって羨ましく読んでいました。
しかし、報告書は退屈でした。
そして、日米の製造業が逆転したのです。
今、流行のMOTはMBAと同じ流れですから、まあだめでしょう。
これが私の、かなり主観的なMOT観です。
渕野さんは、しかし本気のようです。
もし日本がMOTに取り組むのであれば、まずは思想からです。
杉本泰治さんが訳した「科学技術者の倫理」を読むべきでしょう。
そこにチャレンジャー号の話が出ています。経営者の帽子と技術者の帽子と言う有名な挿話です。
そこに経営の本質に関わる問題提起が含意されています。
MOTに限りませんが、日本の研修プログラムは根本的なメソドロジーを変えなければいけません。
この分野は実に魅力的です。
コンセプトワークショップに委託しないかと提案しましたが、価格が高すぎてだめでした。
受託希望価格が3億円です。
しかし、それくらいの価値はあります。
誰か私に受託しないでしょうか。
■個人共創の時代の社内報(2004年7月27日)
48の社内誌を読みました。一つひとつにコメントを書き、全体の審査講評を書きました。
社内誌のことを少し書きます。
メディアのパワーは大きいです。
日本を今のようなひどい状況にしたのに大きく「貢献」したのも、
小泉純一郎を人気者にしたのも、
韓国ドラマをヒットさせたのも、
みんなメディアのパワーのおかげです。
その事実を知っているはずなの、企業はあまり社内報というメディアを重視していません。
これまで社内報を使って自らの経営変革に成功した企業もありますが、
本気で考えていなかったためか長続きはしませんでした。
組織管理の時代から個人共創の時代に移るにつれて、社内報の役割は大きく変わって行くはずです。
しかし、各社の社内報はあいも変わらずのスタイルです。
それは宣伝広告が情報社会になったにも関わらず、変わっていないのと同じです。
今回、48の社内報を読ませてもらって、相変わらず本気で社内報を活かそうとはしていないことを感じました。
どうしてでしょうか。
それはみんな会社を人の集まりだとは思っていないからではないかと思います。
組織は意識の束なのですが、それが認識されていません。
人の意識もまた「管理」出来ると思っているのです。
個人から発想する時代における企業経営にとって、社内報の戦略的意義は大きいです。
社内報の製作方法も活用方法ももっと発想を変える必要があるように感じます。
どなたか新しい社内報モデルに取り組みませんか。
面白いテーマだと思います。
■48社の社内報(2004年7月23日)
昨年に引き続き、社内報コンテストの審査員を今年も引き受けてしまいました。
いつも引き受けた後、後悔します。
そもそも「審査」することはつらいことです。
コムケアの資金助成プログラムの審査も、やった後、1か月くらいは疲れが残ります。
社内報の審査を引き受けるのは、自分の選考感覚を広げておきたいという気分があるからですが、
はじめるとあまりに辛いので、後悔するわけです。
なぜ辛いのかは書きにくいのですが、なかなか「ひかるもの」に出会えないのも理由のひとつです。
残念ながら、今回も出会えませんでした。
もちろん面白い記事はありましたが、驚くような新機軸はありませんでした
情報社会の実現にも関わらず、企業の発想はなかなか進化しません。
社内報を見ていると、それぞれの企業のおかれている情況がよくわかります。
それはとても面白いことです。
内容的なことは書けませんが、企業の無駄や問題も見えてきます。
私のところにも、いくつかの会社から社内報が届きます。
正直に言えば、みんな退屈です。
なぜもっと思い切った取り組みをしないのでしょうか。
時代は大きく変わっています。
社内報の問題は取り組みたいテーマの一つですが、なかなか取り組めないのが残念です。
共創型社内報をどこかの会社で挑戦しませんか。
■エコソシオの実験(2004年6月7日)
エコソシオの野原敏生さんがやってきました。
この会社はワーカーズ・コレクティブ方式でスタートしました。
私は途中からの参加ですが、監査役で参加させてもらいました。
趣旨とテーマに共感したのです。
ワーカーズ・コレクティブは私の大好きなスタイルです。
しかし、これはよほどの信頼関係がないと難しいのです。
インキュベーションハウスもそうですが、エコソシオもいろいろ壁にぶつかってきています。
しかし、野原さんはその都度、危機?を乗り越えてきています。
テーマは、エコとソシオの統合です。
いま取り組んでいるのは、魚のトレイサビリティの仕組みづくりと堆肥プラント普及の活動です。
着実に進んでいるようです。
もっともこの分野はそう利益にはなりません。
野原さんはマーケティングの専門家ですので、その分野で活動費を確保しながら、
エコソシオ活動に取り組んでいるのです。
ちなみに私も、会社時代の自己規定はマーケターでした。
商品開発やマーケティング戦略を任せてもらえたら、お役に立てます。
但し、その商品に納得できればの話ですが。
久しぶりにゆっくり話しました。
話題は「食育」と「医療」。
なぜかこの2週間、食育の話が多いです。
■NPOと企業のコラボレーション実践報告会(2004年6月4日)
UD生活者ネットワークの創立3周年シンポジウムがありました。
テーマは「NPOと企業の対等なコラボレーション」です。
これに関しては、このホームページでも案内をしましたし、簡単な紹介記事も書きました。ご参照ください。
今回の記録も間もなくUD生活者ネットワークのホームページに掲載されるでしょう。
当事者である、UD生活者ネットワークとトステム株式会社から、実践活動の報告がありました。
残念ながら、きっとそのエトスは伝わらなかったように思います。
サラッと聞いてしまうと、これまでの商品手法とそう違いません。
それを補う意味で、ディスカッションのセッションを持ちました。
そのスピーカー兼ファシリテーターとして、参加しました。
UD生活者ネットワークは、コムケア仲間のひとつなのです。
わずか45分の時間でしたので、実にせわしないセッションだったため、
私のコメントも中途半端になってしまいましたが、
活動の中心になった大矢野さん(UD生活者ネットワーク)と亀下隆さん(トステム)が本音で簡潔に反応してくれたので、面白かったです。
この事例はもっときっちり整理して、出版されるといいと思います。
私の感想は、UD(ユニバーサルデザイン)とコラボレーションの関係、
そして今回の取り組みから見えてきたNPOと企業の新しいミッションに関するものでした。
30分くらいの内容を10分でまとめたため、うまく話せなかったのが残念でした。
これに関しては、近い内にまとめて見たいと思っています。
しかし、いつもそうなのですが、そう思っていて、まとめたことはこれまで一度もありません。
できもしない約束をしてはいけませんね。反省。
終了後、懇親会がありました。様々な人に出会えました。
コムケアのメーリングリストに参加してくださっている阪東美智子さんという方から、声をかけられました。
コムケア活動をしていると、時々こういうことがあります。メーリングリストの効用は大きいです。
大日本印刷の小宮康豊さんは10年前に病気で車いす生活になりました。
そうなって初めて障害の意味がわかったとおっしゃっていました。共感できます。
体験こそが最良の教師です。
これはUDにも通じる話です。UDに取り組む人は、わかったつもりになってはいけません。
シニアライフアドバイザーの吉田貴美子さんはご高齢にもかかわらず様々な活動をされています。
NPOやUD、NPOと企業のコラボレーションに関心を持ちながら、さまざまな疑問をお持ちです。
私の話にとても共感してくれました。私も実は、NPOにもUDにも大きな疑問を持っているのです。
少なくとも、いまのNPOやUDは、これまでの産業社会の残渣でしかありません。
発想を変えなければいけません。
これに関しては、月曜日からのブログで少し書いてみようと思っています。
*ユニバーサルデザインへの違和感をブログに書きました(6月7日)。
■UD生活者ネットワークの共創型商品開発(2004年5月13日)
ユニバーサルデザイン生活者ネットワークというNPOがあります。
そこの大矢野由美子さんと吉田早百合さんがやってきました。
ユニバーサルデザイン生活者ネットワークが創立3周年記念シンポジウムを開催するのですが、
そこにちょっとだけ私も話させてもらうのです。
このNPOは事業型NPOを目指しています。
そして見事な事例を実現しました。
トステム株式会社との共創型商品開発を実現したのです。
共創型商品開発。懐かしい名前です。
しかし、ようやく実体をもった共創型商品開発が実現し出したようです。
うれしいことです。
シンポジウムでは、この事例が発表されます。
テーマは「NPOと企業の対等なコラボレーションの実践とユニバーサルデザイン社会の今後」です。
大矢野さんたちは、ユニバーサルデザイン原則を自分たちの言葉で書き直す作業もやったようです。
最初、私はまた形式だけのコラボレーションかと思っていました。
ユニバーサルデザインという言葉を使う人をあまり信じていないのです。
しかし、大矢野さんたちからお話を聞いているうちに、自分の不見識を反省しました。
この取り組みは、NPOにとっても企業にとっても、中途半端ではなかったようです。
ユニバーサルデザインなどという言葉でごまかすこともしていないことがわかりました。脱帽です。
事例も面白いですが、このNPOのこれからの展開に興味を持ちました。
大矢野さんたちは、この活動を通して、企業のCSRの問題にも行きついたようです。
共感できます。
いまの企業のCSR論は実体がありませんが、こうした活動の中からこそ、実体が見えてくるのだろうと思います。
企業の戦略スタッフには、それがわかっていないのです。
彼らは「言葉」でしか、物事を考えていないからです。
シンポジウムは6月4日の3時から、港区の女性と仕事の未来館で行われます。
詳しくはユニバーサルデザイン生活者ネットワークのホームページをご覧下さい。
企業の方にもNPOの方にも、多くの発見があると思います。
お勧めのシンポジウムです。
■ 株式会社リンク・ワン訪問(2004年2月4日)
久しぶりにリンク・ワンの河原庸仁さんを訪問しました。
河原さんは大きな志としっかりした現実感覚をもった社長です。
河原さんが考えているナレッジマネジメントに関心を持っています。
地道な現場知をベースに、自立的な創発システムを構築されようとしているからです。
生きたマニュアルが私の関心事ですが、そんなイメージです。
昨年、そうした活動に関わりたいと思っていたのですが、
身辺の一大変化ですっかりご無沙汰してしまいました。
それで近況もお聞きしようとやってきたのです。
その後の話をお聞きし、とても共感できました。
実際の責任者として取り組んでいる経営企画部長の荻野淳也さんにもお会いしました。
荻野さんは「オープンブック・マネジメント」を以前から読んでくださっていたようです。
そういえば、OBM研究会も再開しなければいけません。
お2人にお会いして、ビジネスの世界は、もう完全に世代交代が進んでいることを改めて実感しました。
財界や大企業の経営者とは全く違う経営者像を感じます。
13年前に雑誌に書いた「企業解体の予感」は、ますます現実味を持ってきました。
この連載記事のすべても、近い内にこのホームページに再録します。
昔書いた論文の内容が次々と現実化してくるのが、うれしい反面、哀しいです
■ 英国バース大学の須田敏子さん(2003年10月2日)
須田さんは、日本能率協会の雑誌「人材教育」の編集長でした。
それが突然に辞めて、英国に留学してしまいました。
それから6年、今はバース大学大学院の博士課程です。
博士論文を持って、久しぶりに来てくれました。
英国の企業経営実態や経済文化は日本ではなかかなかわかりません。
表層的な情報はたくさんありますが、須田さんのように6年もいると、そうした断片的な情報のおかしさに気づいてくるようです。
とても示唆に富む話をたくさん聞きました。
日本の経済社会は、英国を20年ほど遅れて進んでいるようですが、
英国の体験をもっと学ぶことが必要かもしれません。
須田さんの取り組んでいるテーマは賃金制度です。
賃金は単なる制度ではなく、文化です。
そうした視点を踏まえて、しっかりした本格的な分析をされています。とても共感できました。
私は、組織発想ではなく個人発想の時代への転換をベースに考えていますが、たとえば職務給は組織発想です。
組織や制度に個人を合わせる発想です。
職能給もそこからぬけでていません。
個人発想の賃金体系は、江戸の商家の仕組みです。
個人の能力や関心に合わせて、組織活動を組み立てています。
その文化が残っていた時は、日本の企業も賃金制度などどうでもよかったのです。
しかし、そのおかげで、いい加減な賃金専門家が生まれ、いい加減な賃金論が広がったのです。
賃金は、もっと文化論として考えられるべきだと思います。
久しぶりに、企業経営論に関して議論しました。
須田さんは来年から日本で活動を開始するようです。
帰国したら、一度、彼女の話を聞く会を開いて見ましょうか。
新鮮な話がたくさん聞けそうです。
■ アルプス技研での講演(2003年10月4日)
企業関係は原則として名前を出さない方針ですが、今回は書いてしまいます。
今日、講演に行きました。
友人からの依頼で、「企業風土変革」の話です。
もっとも私が話したのは、皆さんも生き方を変えましょうというメッセージです。
アルプス技研は元気です。社長が知人の池松さんです。
現場重視のいい経営をやっています。
技術者派遣の会社ですが、大化けする可能性のある会社ですね。
組織としても面白いです。新しい企業組織のモデルのヒントがたくさんありそうです。
土曜日なのに、全国から100人近い社員が集まって、1日セミナーを受けるのです。
私は、そのひと駒を担当しました。
社員も大変です。私の話が役に立ったかどうか心配ですね。
だいたい講演などというのは役にはたたないのです。
まずは、そうした文化を変えたほうがいいかもしれません。
そうしたメッセージを主催者に伝えたのですが、成功したでしょうか。
そろそろ外部講師を呼んでの講演会などはやめたほうがいいです。
私を呼んだ事務局の方は、講演の前後で、私のホームページを紹介してくれました。
ですからきっとこの記事も読んでいるかもしれません。
すみません、岡崎さん。
次回はぜひ講演などではなく、みんなに語らせるといいですよ。
きっとみんなから喜ばれます。
講演の時代は終わりました。これからはワークショップです。
■ ビジネスカウンセリング(2003年9月26日)
会社関係の仕事のことはなかなか書けないのですが、匿名で書いてしまいます。
ある会社の経営相談を受けました。
同社にはすでに同業者が相談に乗っています。
従ってなかなか関わるのは難しいのですが、問題の一つは、そのコンサルタントが効果的に活かせていないことからの相談なのです。
企業でも行政でもそうですが、コンサルタントに相談したために、おかしくなったところは少なくありません。
私の仲間も多いので、大きな声では言いにくいですが、クライアントにもコンサルタントにも問題があります。
頼むほうがまずは外部の知恵を使いこなす意思と見識がなければいけませんが、
それが不十分なまま、コンサルタントに問題解決を依存してしまいがちです。
それではいい結果は生まれません。
コンサルタントも、真面目に課題に取り組もうとすると費用的に引き合わないことが多いように思います。
したがって、形だけのコンサルティングになりがちです。
お互いに不幸なことです。
私の場合は、契約単価が3億円ですから、思い切り仕事ができます。
残念ながら、まだ契約が成立した事はないのですが。いやはや。
外部のコンサルタントができることは、その企業の持っている強みを活かす動きを起こすことです。
企業が元気になるのは、その企業が持っている「気」を回復することなのです。
外部のコンサルタントはそのきっかけをつくるだけです。
外部から企業を元気にすることなどできません。
組織は内発的にしか、元気にはなっていかないのです。
しかし、内発的な機運がでれば、企業は簡単に元気になります。
その組織原理がわからない組織との仕事はいつも途中で終わります。
そしてそういうケースが多いのです。私のパワー不足かもしれません。
ところで今回の件ですが、3か月、お付き合いして相談にのることにしました。
■ 社内報企画コンペティション(2003年8月3日)
社内報に興味を持っていた時代がありました。
企業を変革するツールとして大きな期待があったからです。
それを見事に活用した事例も昔はありました。
たとえば西武百貨店です。
しかし、最近はネットの普及の影響か、社内報は余り目立ちません。
社内報といえば、リクルートの「かもめ」が今でもたぶん、ナンバー1でしょう。
その文化を構築したのが、福西七重さんです。
福西さんは「社内報の母」と言われるくらい、社内報の世界に大きな影響を与えています。
福西さんは数年前にリクルートを退社し、ナナ総合コミュニケーション研究所を設立しました。
そこを拠点に活動をどんどん広げています。
その活動の一つが、「社内誌企画コンペティション」です。
全国の企業や行政の社内報の企画記事のコンペティションです。
今年はその審査委員を引き受けてしまいました。
久しぶりに各社の社内報をじっくりと読ませてもらいました。
社内報を読むと、その企業の企業文化のみならず、将来性も見えてきます。
私のところには、今でもいくつかの企業から社内報が届きます。
申し訳ないのですが、全く退屈なのでほとんど見ないものが多くなっています。
福西さんたちの活動にも関わらず、社内報の現実は進化していません。
今回、多くの企業の社内報を集中的に見せていただき、改めて企業の自閉症状況を感じました。
なかには見事な使い方をしているものもありましたが、多くはせっかくの戦略的メディアであるべき社内報を無駄づかいしているのがほとんどのようです。
実に残念なことです。
しかし、そこにこそ、今の企業の問題があるのでしょう。
この審査結果は本として出版されるはずです。
今回の企画で、昔書いたいくつかの社内報関連の小論を拾い集めました。
関心のある人はお読みください。古い物ばかしですが。
■ 若手の企業人との社会貢献活動論議(2003年7月29日)
水族館環境教育研究会の安田晋さんが会社の同僚の若林直樹さんと一緒に相談にやってきました。
安田さんは6月14日のコムケアフォーラム2003 in 東京に出展してくれた人です。
いわばコムケア仲間。断るわけにはいきません。
今回の相談は仕事の関係です。
2人が勤務している会社の社会貢献活動プログラムを企画しているのだそうです。その相談です。
私は「社会貢献」なる言葉が嫌いなのです。
そのせいもあって、かなり辛口なコメントをしてしまいましたが、そのおかげで本質的な議論ができました。
企業人とこうした議論をしたのは久しぶりです。
言葉の問題はともかく、いい意味で会社の仕組みを活かして、社会活動をしていくことは、
会社にも本人にも、そして社会にもプラスになるはずです。
そうした姿勢で取り組む企業がほとんどないのが残念です。
せっかくの資金が生きていない事例が多すぎます。
私に預けてもらえらば効果的に使うのですが。
この会社はトップが社会活動とリスクマネジメントをつなげて考えているようです。
つまり戦略課題と位置づけているわけです。
そうであれば、きっといいプログラムが企画できるでしょう。
少しプランを見直して、また仲間と一緒に来るそうです。
どんなプランが出てくるか楽しみです。
■エコソシオとワーカーズコレクティブ(2003年6月16日)
エコソシオは、ソーシャルビジネスを目指したワーカーズコレクティブ会社です。
私も参加しています。
ドメインは環境ビジネスですが、なかなか収益にはつながりません。
現在は野原敏生さんがフルコミットされて、会社の経営に当たっています。
私は監査役ですが、経営はかなり厳しいです。
志を持っての事業展開は、そう簡単ではありません。
野原さんと今年の事業計画に付いて意見交換しました。
ブルーツーリズムに取り組む計画です。
■ リンクワン訪問(2003年5月19日)
リンクワンは急成長しているベンチャー企業です。
その社長の河原庸仁さんとの出会いは昨年です。
その真摯な志に共感しました。経営姿勢にも理念があり、共感できます。
彼はまた、OBM研究会のメンバーでもあります。
河原さんを訪問しました。
河原さんの会社をフィールドにして、新しい企業経営のメソドロジーを実践的に開発したいと考えたからです。
最近、企業関係の仕事にあまり時間を割いてきませんでしたが、
いまの企業の状況を見ていると、何かやりたい気分になります。
日本の企業は経営することを忘れています。
元気になるはずがありません。
相談に行った話も面白いのですが、
その際、河原さんから持ちかけられた話はもっと魅力的な話でした。
外食産業に関わる人材育成支援の学びの場を創りたいというのです。
それだけではよくある話ですが、彼の思いはとても深いのです。
そして、社会的な広がりをもっています。
外食産業には、以前も書きましたが、私はかなりの不満があります。
すかいらーくが生まれた時の経営者にはビジョンがありました。
しかし、最近の経営者にはそれを感じません。
マックの藤田さんのように厚顔な利益主義者も増えています。
食は「いのち」と「文化」の基本です。そこをおろそかにして、社会が豊かになるはずはないのです。
この河原構想に、私も何か関われればと思い出しました。
それにしてもやるべきことの多い時代です。
企業が停滞しているのは、おそらくそうした時代の状況が見えていないからでしょう。
こんなに起業チャンスの多い時代はありません。
時代の変革期なのですから。
■日本経営理念研究所市川覚峯さん(2003年3月27日)
市川覚峯さんが久しぶりに来ました。
新たに活動に参加した天谷恭一郎さんも一緒でした。
別項で紹介していますが、
市川さんは比叡山、高野山、大峰山で1200日の修行をされてきた、異質のコンサルタントです。
その修行の節目毎に、私も現地に行きました。
かなり過酷な行体験だったと思います。
今度、それをベースにした新しい「スピリット道場」というプログラムを経営者向きに始めるそうです。
実際に行を体験すると共に、
松長有慶さんや光永丹道さん(1000日回峯行者)などとも親しく話し合うセッションもあります。
経営にも道があるという、市川さんの活動はそれほどうまくいっているわけではありませんが、
活動をはじめだしてから20年近くたっています。
その活動の成果は、少しずつ結実してきています。
行に参加されたい経営者の方がいたら、ぜひ参加してください。
小泉信一郎やブッシュにも参加してもらい、道をはずことの意味を考えさせたいです。
■ 自治体にとってもビジネスにとっても、チャンス山積みの時代
日本食文化交流協会の企画者、東山雅広さんに久しぶりにお会いしました。日本食文化交流協会は全体構想としてはちょっとお休みしているようですが、それにつながる二つの具体的なプロジェクトのお話を聞かせてもらいました。
福島県の泉崎村の「わっはっは!泉崎村」(e村民活動)と「ものづくりに関するワーカーズ・コレクティブ」です。
前者は泉崎村のホームページに紹介がありますので、ご覧下さい。
自治体にとっては、今は大きなチャンスの時代だと思いますが、市町村合併などの発想とは全く違った、こうした路線があることにもっと気づいてほしいものです。
福島県の市町村は、私の知る限りではしっかり自分たちの道を考えているように思います。
【わっはっは!泉崎村】
http://www.webinfo.co.jp/izumizaki/
ものづくり企業のワーカーズ・コレクティブに関してはまだホームページはできていませんが、間もなく発表されると思います。
基本的には私たちが取り組んでいるインキュベーションハウスと同じ発想ですが、技術をもったメーカーの集まりですから、創発効果は大きいと思います。
異質なものがつながって、新しい価値を創りだすと共に、自分たちの新しいコミュニティを育てて行く。
それこそがこれからの社会の基本ではないかと思っています。
東山さんの活動に共感している所以です。
東山さんは、新しい経済の仕組みを志向しながら、様々な仕組みを構想し、推進している情熱家です。
全国の『いいもの商品』を集めた「いいもの屋」もやっています。
ここの地パンは実に美味しいです。そのホームページでは生産者も紹介しています。
http://www.iimonoya.jp
■ 創志塾の「こころ」セッションを開催しました(2002年3月14日
)
三浦さんが塾長をしている創志塾の第3プログラムを、毎回、私が担当させていただいています。「こころ」をテーマにして、1日、話し合うセッションです。
午前中は、塾生が課題として読んできた「こころに関する本」の紹介を中心に話し合いました。各人がそれぞれに「こころの本」を探すのですが、毎回、さまざまな本が紹介されます。なぜその本を選んだかという話はいつも刺激的です。
午後は「心の構造」を絵に描いてみることから始まります。さまざまな不思議な絵がいつも登場します。今回は実に見事な絵があって、感心させられました。 私からは私たちはそれぞれたくさんの「小さな心」を持っていること、しかもそれは奥のところで全ての人や山川草木につながっていること、などを話しました。 意識変革ということがよく言われますが、私は「変革」ではなく「小さな心の組み合わせ」を変えることと考えています。ですから、私の場合は比較的、意識変革は簡単なことなのです。
最後は北海道家庭学校の谷さんの話を材料に議論します。谷さんの話を聞くたびに、私はいつも涙が出そうになります。そして、いつも少しずつですが、自分の生き方が変わっていきます。
塾長の三浦さんは、いつも自然体で生きています。お会いして以来、毎年どんどん若返っています。三浦さんの創志塾も今回で4期目です。参加した人は間違いなく生き方を変えていくように思います。
皆さんも一度、参加してみませんか。
■ トヨタグループの技術者の交流会に参加しました(2002年3月13日)
企業の関係の記事は載せにくいのですが、まあ、話をしに行ったことくらいはいいでしょう。今日は、トヨタ関係の大手3社の技術者の交流活動のキックオフ大会に行き、話しをさせてもらいました。「ちょっと立ち止まってみませんか」という話です。
最近の企業はかなり開かれてきましたが、企業の人とお付き合いして感じるのは、その世界の狭さです。企業の外での様々な動きに対して、あまりにも情報不足なのがいつも気になります。人は自分の関心ある世界のことしか見えないものなのだと痛感しています。そんなことから、今回は企業の外の言葉をたくさん出してみました。
ところで、今回の活動はトヨタグループ3社の技術者が一緒になって、時間と予算(いずれも半端ではなく、私が関わっている行政の中途半端な姿勢とは大違いです。企業のほうが人の大切さを実感しているのでしょうか)をかけて自由に未来の夢を語る企画です。トヨタは夢が好きな会社ですが、どんな夢が出てくるのか楽しみです。
私はトヨタのこうした活動にこれまでも2回関わらせてもらいましたが、毎回、実に魅力的な人に出会います。今回も楽しみです。
ところで、みなさんも夢を語っていますか。今、一番大切なことです。いつもの事ながらトヨタの先見性には感心します。
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クリエイティブマネジメント研究会でOBMの話をさせてもらいました(2002年3月19日)
このホームページでもご案内している、クリエイティブマネジメント研究所の例会で、OBM(オープンブック・マネジメント)の話をさせてもらいました。この研究会はクリエイティブマネジメント研究所の井口さんが主宰しています。
企業変革が話題になっていますが、OBM発想をとれば企業はいとも簡単に変革できると、私は確信していますが。
そんな意識で新しい企業のあり方をメッセージさせてもらいました。
■ 外資系の企業の人が企業文化変革の相談にきました
企業文化変革は私の本籍地です。
昭和39年に会社に入った時点で、会社を変えてやろうと考えていました。
そのうちにミイラ取りがミイラになってしまいましたが、それではいけないとCIの仕事に取り組みました。
日本でおそらくCI運動という形での企業文化変革活動の実施は東レが最初だったと思いますが、その活動に取り組みました。
そして見事に挫折して会社を離脱しました。
そもそも会社を変えようなどと考えてはいけないのです。
会社が変わるのではなく、社員や経営者が変わるのです。
そうした状況を創れば、いとも簡単に会社は変わるのです。
これについては日本CI会議体で出した本に書いた、私の小論を是非お読みください。
このホームページにも掲載されています。
今日、ある会社の人事部の方がきました。
行動指針を社内に浸透させたいというのです。
理念や経営理念を社内にどうしたら浸透できるかという相談は時々ありますが、それは簡単です。
浸透させようなどと思わずに、それを守れば役に立つような仕組みを作ればいいのです。
久しぶりにそんな話をしました。
実は昨日もある上場企業の社長に相談を受け、同じような話をしたのですが、今年はなんだかまた企業のほうに引き寄せられそうです。
やっと企業も面白くなっていくのでしょうか。
■ OBM研究会を開催しました
このホームページでもご案内しているOBM研究会の第1回目を開催しました。
8人の方が集りました。
企業人もいれば研究者もいれば、コンサルタントもいれば、協同組合の研究者もいれば、ベンチャー経営者もいます。
今回はそれぞれの思いを語りましましたが、それでも企業経営に関するかなり本質的な問題が見えてきたように思います。
私自身はOBM理念を導入すれば会社は元気になると確信していますが、その具体的なメソドロジーやプログラムがありません。
カスタムメイドだろうとは思いますが、そんなことを少し議論していくことにしました。
毎月1回、それぞれが問題提起しながら議論を重ね、1年後には本にしようということになりました。
私が訳した「オープンブック・マネジメント」は残念ながらあんまり売れていませんが(しこしこ売れているそうですが)、今度出す「日本版OBM革命(私の勝手な書名案)」はベストセラーを目指します。
ご期待ください。
この研究会に参加ご希望の方はご連絡ください。
メーリングリストも開設される予定です。
■ 「多様な働きの場の創出」研究会の初顔あわせがありました(2002年3月28日)
シニア社会学会の研究会として、新しい働きの場創出研究会が始まりました。
今日はその第1回目です。
シニア社会学会は20年来お付き合いいただいている守永英輔さんのライフワークです。
私も10年ほど前に経済広報センターに提案して、シニアネットワークを立ち上げたことがありますが、その時もご一緒したお一人です。
シニアネットワークは各地に支部ができはじめるところまで進んだのですが、残念ながらセンターの方針変更で突然打ち切りになりました。
やはり、誰かに依存した活動は本物にはなりません。
自分でやらなければいけないと教えられました。
守永さんは仲間たちとこの学会を立ち上げました。
私は全く怠惰なメンバーでしかありませんが、テーマが私の関心分野でもあり、参加することにしました。
私も数年前にワークスタイルの研究会(ソフト化経済センター事務局)やコンヴィヴィアリティの道具としての企業論研究会などでワークスタイルの問題を考えましたが、そこで考えたことを少しずつ自分で始めています。後者の検討の時にまとめた小論をご関心のある方はお読み下さい。
→多元化する企業組織と経営形態
私の生活信条は「考えたことは自分で実行する」ことです。
全てではないですが、言行一致を最近の生活姿勢にしています。
コムケアセンターやインキュベーションハウスは、新しい働きの場の実験場のひとつです。
今回の研究会は日本労働者協同組合理事長の菅野正純さんと長寿社会文化協会の松木久佳事務局次長が中心で進めていく研究会です。
菅野さんは協同労働のテーマに実践的に取り組んでいる方です。
私も多くのことを学ばせていただいた方です。
菅野さんが取り組んでいるひとつに、「協同労働の協同組合」法制化をめざす市民会議というのがあります。
これからの働き方の一つです。
私はNPO法にはかなり違和感があり、賛同しかねますが、この法案は完全に共感しています。
皆さんもぜひご参加下さい。
ホームページをぜひ見てください。
長寿社会文化協会も、その設立に関わった方からお話を聞き、共感して私も参加していますが、まだ活動には参加できずにいます。
今回の協同組合の参加者はこれまた多彩です。
怠惰な私のことですから、余り参加は出来ないかもしれませんが、また動きをご報告します。
■ キャロルフランクのこと
キャロルフランクってご存知ですか。1975年からパリでスタートした化粧品のブランドです。
全ての製品が植物のエッセンシャルオイルをもとに作られて、アロマテラピー(芳香療法)とフィトテラピー(植物療法)の相乗効果によりストレスを軽減し肌の深部に到達する化粧品です
。まだあまり知られていませんが、近いうちに必ず大きな話題になるだろうと思います。
すでに日本を代表するヘアメイクアーティストの嶋田ちあきさんが評価しているとお聞きしています。
私の友人の若き起業家、成瀬さんがこの商品の日本への紹介に取り組んでいます。
私にはあまり似つかわしくない話ですが、私が関心を持っているのは、純度の高さを背景にしたアロマテラピーとフィトテラピーです。
実はこれに関わらず、今週は「植物性」「自然の癒しのパワー」「癒し」などが大きなキーワードでした。
紹介したい話が山ほどありますが、書ききれません。
たとえば、友人から米国での「植物性栄養学会」への参加報告が届いたり、石巻市で地産地消を目指す若い友人がやってきたり、次に紹介するJA兵庫六甲の人がやってきたり、などなどです。
あることを考えているとなぜかそうしたことが集まってくる。
そういう経験をされたことはありませんか。私はよく体験します。
宇宙を司る大きな意志を感じます。
■ ソフト化経済センターの町田洋次さん(2002年5月31日)
久しぶりにソフト化経済センター理事長代行の町田洋次さんに会いに行きました。
コムケア活動のアドバイスをもらいに行ったのです。
私は非常に短絡的に反応してしまうタイプですが、町田さんはいつも沈着冷静なのです。
町田さんとは古い付き合いです。
まだ私が東レにいた時代、新規事業開発が関心事だったのですが、1980年頃、町田さんが米国で広がっていた病院チェーンを日本に紹介してくれました。
確かそれが町田さんとの最初の接点でした。
今でこそ、NPOのマネジメントという発想は広がっていますが、当時はまだ少なかった時代です。
当時、私が関心を持ったのは、公益組織の経営と自治体の経営です。
企業がそこから学ぶべきことはとても多いのではないかと考えていました。
後者では米国のシティ・マネージャーに関心を持ちましたが、これについてはその後、相馬市の職員の遠藤さんという方に出会いました。
遠藤さんのことはいつかまた紹介できると思いますが、日本では数少ないシティ・マネージャーに造詣の深い方です。
町田さんに話を戻します。
最近、社会的起業家という言葉がよく目に付きますが、この言葉を広めた一人が町田さんです。
「社会起業家」(PHP新書)という本を出していますが、とてもわかりやすく、示唆に富んでいます。
ぜひお読みになることをお勧めします。
この本を読んで、生き方を変えた人も少なくありません。
この本の反響は大きく、出版後、町田さんは2000人くらいの人にお会いになったり、お話したりしてきたそうです。
そうした中から、町田さんはまた新しい仕組みを構想中らしいです。いつか見えてくるでしょう。楽しみです。
町田さんが主催された社会的起業家の研究会に以前、私も参加しましたが、その報告書に書いた小論を掲載します。 ご関心のある方はお読み下さい。
■ 大阪市立大学川村尚也さん(2002年5月31日)
川村尚也さんとは数年前にご一緒に働き方や生き方に関する研究会を行ないました。
川村さんは、これからの企業組織のかたちとして「多個協働・異化組織」、つまり「タコ・イカ組織」を提唱されました。
そのときの報告書は「楽しい自分 元気な経済」と題した報告書になってまとめられています。
私の手元に2部ありますので、関心のある方はオフィスに来てくださったら差し上げます。
そこに書いた私の「はじめに」的な文章を掲載しました。
いつも同じようなことをメッセージしているなと、久しぶりに読んでみて感じました。
当時、川村さんは甲南大学の助教授でしたが、その後、大阪市立大学大学院に移られました。
いま、企業人を対象にした、異業種交流のプログラムを開発しているとのことです。
そこに遊びにこないかというお誘いでした。
川村さんはちょっと異色の大学の先生です。
ホームページを一度ご覧下さい。
■ 株式会社リンク・ワン代表河原庸仁さん(2002年9月19日)
いま、急成長しているリンク・ワンという会社はご存知でしょうか。外食産業向けに人材を派遣し、店舗経営を支援している会社です。かんき出版の藤原さんの紹介で、その代表の河原さんがやってきました。こちらは、ぴかぴかの起業家です。彼の起業理念に共感しました。
主体的に生きる生き方を身につけた若い起業家を輩出させたいというのが河原さんの思いです。経営の考え方を聞いていたら、まさにオープンブック・マネジメントなのです。最近の若い経営者には、オープンブック・マネジメント思想は何の違和感もなく広がっているのだなと思いました。もちろんオープンブック・マネジメントの本を読んでではなく、実践的に行き着いた考え方なのです。
ちなみに私が翻訳したオープンブック・マネジメントは残念ながら売れていません。というか、書店にないのです。皆さん、書店に注文してください。怠惰なダイヤモンド社に増刷を決意させたいです。まあ、しかし、一番の怠惰者は翻訳を3年以上遅らせた私ですが。でもこの本が広がれば、そして日本にOBM革命が起これば日本の会社は間違いなく元気になるはずです。
そういえば、最近、このホームページを読んで、企業の方やNPOの方からオープンブック・マネジメントの照会が増えています。OBM研究会への参加希望者も増えています。河原さんも参加することになりました。
それにしても、新しい起業家がどんどん増えているのです。そして彼らの目の輝きはすばらしいです。東電の経営者にも、こういう時代があったのでしょうね。それを思いだしてほしいです。孫に顔向けできない人生から足を洗ってください。またまた蛇足でした。
■ 株式会社セルムの加島禎二さんたちがやってきました(2002年9月13日)
とてもうれしいのですが、最近、私のホームページを見たといって連絡して下さる方が少しずつですが、出てきています。OBM研究会はそうして参加してくれたメンバーが大半です。
最近は私のリスクマネジメントのページを読んで電話して下さる方が出始めました。東京電力や食品メーカーの昨今の事件はリスクマネジメントというよりも、経営以前の問題ですが、ここにも自分の良心にではなく、組織に尽くす(つまり「会社を食い物にする」)人たちの集団に成り下がった経営幹部人の姿が見えます。
それにしても、なぜこれほど彼らは現実から学ばないのでしょうか。かつては企業の社会的責任議論でイニシアティブをとっていた東京電力が、この程度の対応しか出来ないことに大きな失望を感じます。広報を全く理解していない会社であることを露呈しています。そして、根っこに「自分の良心に生きてこなかった」経営幹部の生きざまが感じられます。
余計なことを書きましたが、今日、書きたかったのはそんなことではありません。
私のホームページのリスクマネジメント論を読んで、訪ねてきてくれた方がいます。セルムの加島さんと西野さんです。セルムはコンサルタント・ネットワークをベースにして、企業の問題解決を支援する会社です。組織と人材を「つなぐ」お仕事です。
企業や行政に関わらせていただいて感ずるのは、組織は社会の知(人間)の所在にあまりにも無知だということです。あるいはその活かし方を知らないといってもいいでしょう。人材のミスマッチやアマチュアリズムのコンサルティングがとても多いように思います。ですから役にたたない行政計画が乱造され、企業変革は形だけの自己満足という事態がいたるところで起きています。まあ、私も一部はそれに荷担しているのかもしれませんが。
セルムのお二人とお話をして、またちょっと企業への関心を回復させました。セルム創業者の松川さんとは5年ほど前にお会いしたことがあるのですが、その時はあまり関心がなかったのですが、今回改めてこうした仕事に関心を少し持ちました。
■ OBMの取材(2002年10月9日)
シリエズ総研の広瀬さん(代表)と松井さんが訪ねてきてくれました。オープンブック・マネジメントの取材です。広瀬さんは全国の税理士を支援している活動をされているのですが、税理士にとっての新しい役割の視点から、OBMに関心をもっているとのことでした。ご自身の会社でもOBMを展開されています。
OBMについて、とても元気づけられる刺激を与えてもらいました。社会の関心の鈍さに、いささかの不満を持っている私としては、広瀬さんのような方に会うと元気になります。しかし、広瀬さんは「売れてないでしょう」とずばりと指摘されました。その通り、この本は売れていません。第一、書店に並んでいませんから。残念でなりません。この本をしっかりと理解すれば、会社などいとも簡単に元気になるはずですが、そこへの慧眼を持つ人がほとんどいないのです。いや、これは私の勘違いかもしれませんね。反省。私の目が濁っているのかもしれません。
広瀬さんとお話していて、やはりもう少しOBMに真剣に取り組まなくては思いました。
■異業種交流企業家塾(2002年10月25日)
関西生産性本部の主催する企業家塾に話に行きました。アジテーションだったのですが、残念ながらほとんど手ごたえはなく、反発を実感しました。この数年は、こうした場でもかなり手ごたえがある反応が増えていたのですが、今回は意外でした。私の言い方がきつすぎたのかもしれません。東電や食品メーカーの不祥事は、どこでもが抱えている病理ということを言い過ぎたかもしれません。
期せずして、次項のサロンで、「日本の企業人も、その洗脳振りには、北朝鮮の党員と同じ」という話題がでました。私もまさにそう感じました。私は東レのCIで、バッチを廃止しましたが、まだバッチなるものが価値を持っていることに非常な驚きを感じます。
今週は日曜日にNPOの人たちと、火曜日に住民や行政職員と、話し合いを持ちましたが、企業の人たちとの話し合いの雰囲気と全く違う雰囲気が面白かったです。話し振りのなまなましさが、その分野の先行きを予感させます。
EDコントライブの社長の川合アユムさんが、私に続いて話をしてくれました。この会社は、以前から友人から話を聞いており、川合さんとも一度、メール交換していましたが、きちんと話を聞くのは初めてでした。実に共感できました。言葉で語っているのではなく、身体で語っているのがとてもよかったです。同社はある種のオープンブック・マネジメントだと思いますが、卑しさがないのが好感できました。オープンブック・マネジメントには、ある種の金銭主義的卑しさの落とし穴があります。
この塾に誘ってくれたのは、大阪市立大学の川村尚也さんと関西生産性本部の西田隆史さんです。塾では6社の異業種の人たちが自らの夢を語りながら、自らのあり方や仕事のあり方を見直すことが意図されています。議論を聞いていて、感じたのはやはり論理の世界です。20日の会にぜひ参加して欲しかったなと思いました。今、必要なのは身体で完治考えることなのではないかと思います。
みなさん、身体で考えていますか。
■ モノづくりの現場を元気にさせたい(2002年10月28日)
素材メーカーの人事部の内海和之さんが,私のホームページを見て訪ねてきてくれました。
企業変革に取り組まれています。お話をしていて、東レでCIに取り組もうと思い出した頃を思い出しました。
企業変革に関しては表層的に考えている人が多く、折角相談に来てもらっても、あまり気乗りしないことが多いのですが、今回は違いました。内海さんの姿勢に共感しました。
企業変革について様々な議論がありますが、私は組織原理を変えれば簡単に変わると思っています。
組織視点ではなく、個人視点で組み替えるということです。
これにつてはメッセージでも語っていますし、何回か書きました。
それがなければ、どんな技法を使おうと多分成功しないでしょう。
内海さんは、いま、工場を元気にすることに関心があります。
これまた簡単な事で、現場の人と一緒に考えればいいのです。
しかし、こんなことは内海さんは百も承知で、しかし、なかなか動けずに苦労しているのです。
組織をよくしたいと思っている人は決して少なくはありません。
にもかかわらず、その人たちは壁にぶつかり悩んでしまう。
どこに問題があるのでしょうか。
多くの場合は、現場から遊離したトップとそれを取り巻く経営幹部です。
しかし、間もなくそうした構図もなくなっていくでしょう。
大企業の変革が、それに間に合うかどうか。私は多分間に合わないと思いますが(15年前に「脱構築する企業経営」というテーマで、日本能率協会の経営雑誌に1年間連載しましたが、その第1回目が「大企業解体の予兆」でした。最終回の結論は協同組合モデルへの展開でしたが、当時はいずれも評判が悪かったです。しかし、事態は全くその方向に来ています)、内海さんの取り組みを応援したいと思います。
内海さん、楽しみにしています。
■ 企業のあり方に疑問のある方がもう一人来ました(2002年10月30日)
不思議なもので、毎週、記録を書いているとテーマが見えてきます。
今週は「企業変革」でした。
内海さんと同じく、今の自分の会社に危機感をお持ちの神成尚亮さんがやってきました。
東レ時代にCIに取り組んだ高坂さんが同行してくれました。
この高坂さんも紹介すべきことがいろいろあるのですが、今回は彼が連れてきてくれた神成さんの話です。
テレビ関係の会社に所属していますが、今の会社のあり方に違和感をお持ちです。
どうしたらいいのか、まさに内海さんと同じ問題意識をお持ちです。
最近、こうした問題意識を持ち人によく出会う一方で、そんな悩みなどなく目先の作業に埋没している大企業の方にも出会います。
神成さんとの話は、結局、自分のアイデンティティの問題から出発するのがいい、ということになったのですが、何か新しい象徴的なビジネスが創出できないかと言うことになりました。
難しい話ですが、実は今は、それが可能性を持っている時代でもあります。
本当に小さな一歩が大きなうねりを起こしだせる時代です。
高坂さんがいたせいで、昔、私が東レでCI(企業文化変革)に取り組んだ時のことを少し思い出しました。
6年間くらい、その仕事に埋没し、結局、それが終わった段階で会社を離脱してしまいました。
何だか、今の状況に似ているなと思い出しました。
コムケア活動に埋没しながら、そろそろ自分の生き方に少し違和感を持ち出しています。人間は変わらないものですね。
■ 経営道の伝道師 市川覚峯さん(2002年11月7日)
日本経営道協会の市川覚峯さんがやってきました。
市川さんは以前一度紹介しましたが、経営コンサルタントだったのに、突然思い立って、1200日(実際にはそれ以上でしたが)、比叡山、高野山、吉野で修業された行者です。不思議な霊力をもっている人ですが、ほとんど、誰にも理解されていないのが問題です。
私は彼の比叡山での得度式、高野山の21日の断食行明け、吉野の過酷な回峯行の満行式に立ち会いましたが、彼の行は中途半端ではありませんでした。
市川さんの思いは世直しです。特に今、影響の大きい経営の世界に「道」を回復させたいという強い思いを持っています。お知らせで紹介しているKAE経営道フォーラムも、もともとは市川さんが創設しました。
市川さんは、大きな構想を持っています。日本の経営道の先達の思想と実践を一堂に集めた実践経営道の殿堂を建てたいのです。まあ、高々20億円もあれば出来る話ですから、誰かがポンと資金を出せばいいのですが、それがなかなか実現しないのです。みなさんの周りに出してくれそうな方がいたら教えて下さい。市川さんは喜びます。もっとも私はその構想に賛成しているわけではありません。念のため。
■ ベネッセの林田清治さん(2002年11月7日)
ベネッセで新しいビジネスモデル作りに取り組んでいる林田さんがやってきました。テーマがNPOや子育てに関わっているので、そうした分野にささやかに関わっている私のところにやってきたのです。林田構想に共感を持ちました。新しい発想のビジネスです。
ベネッセという会社が、これを契機に変わってくれればうれしいです。これまでのベネッセの事業戦略には、私は否定的です。これまでの二の舞になってほしくないものです。
内容はまもなくベネッセから発表されるでしょうが、私の知り合いも色々と参加しているようです。まさに時代はコラボレーション。共創の時代です。問題はビジョンと理念です。
社会の枠組みが変化しつつある中で、新しいビジネスチャンスは山積みされています。新しいビジネスがどんどん生まれそうです。それなのに何故日本の企業は元気が出ないのでしょうか。たぶん新しい経済システムや社会システムが見えていないのでしょう。あるいはビジョンがないからです。
しかし、現場の人たちには見えているのかもしれません。そこにちょっとの資金を回せば、社会は元気になるように思います。間違ったところにいくら財政を投入しても元気は出てこないでしょう。問題は「お金」の量ではなく、使い方の「質」ではないかと思います。
林田さんたちのような新しい動きが、もっともっと広がることを期待します。