コムケア仲間との交流
コムケア活動の仲間たちのと交流などの記録です。
正式なレポートはコムケアセンターのホームページに掲載されますが
私のホームページでは、私の主観的な報告を時々紹介させてもらいます。

■ コムケアフォーラム2003 in 名古屋(2003年8月6日)
コムケアフォーラム2003の第3弾です。
名古屋のパートナーシップ・サポートセンターの岸田さんが協力してくれて実現したNPOの交流会です。
短期間の呼びかけにも関わらず、48名の方が参加してくださいました。
NPOも18団体も参加し、それぞれの活動内容を紹介してくださいました。
ソーシャルベンチャーの提案もあり、実に熱気のある会になりました。
改めて岸田さんの元気なお人柄に触れました。

印象的だったのは、若い世代が多いことでした。
そして、みんな極めて実践的なNPOなのです。
パートナーシップ・サポートセンターの姿勢を感じました。

前回の仙台とはまた違った展開でした。
報告はコムケアセンターのホームページに書きこむようにします。

パートナーシップ・サポートセンターの活動に関しては、ぜひホームページをご覧下さい。
とてもいい活動をされています。
岸田さんたちがまとめたNPOと企業のパートナーシップの本もわかりやすくて実践的です。
お勧めします。

ちなみに、会場でこの本とコムケア仲間を題材にした「成功するNPO 失敗するNPO」(大川新人著)の本の販売をしたのですが、無残にも1冊も売れませんでした。
名古屋の人の財布はかたいです。
重い本を持参したのにだめでした。
セールスマン能力は私にはないようです。

■ Wonder Art Production(WAP)の高橋雅子さん(2003年12月11日)
WAPの代表の高橋さんがやってきました。
ホスピタルアート活動は順調に進んでいます。
栗橋病院の本田宏さんが場所をつくってくれ、活動を支援してくださっています。
すでに2回を終え、次は2月7日の予定です。
病院を楽しくする活動ですが、この活動を運動的に全国展開していきたいと思っています。
NHKも取り上げてくれましたが、まだ広がりが弱いです。
WAPの一連の活動をどこかで記事にして、発表していくことで、運動にしていきたいのですが、
やはりマスメディアを持たない弱さで、応援できずにいます。

2月頃に、ちょっと拡大ミーティングを開催し、できれば春にホスピタルアート・フォーラムのようなものを開催できればと思っています。
スポンサー先を探す予定です。どこか心当たりがあれば教えてください。

栗橋病院の活動の一部は、WAPのホームページをご覧下さい。

 

■ ホスピタルアートに取り組む高橋雅子さん(2003年7月16日)
ホスピタルアートは、日本でも少しずつ広がってきている概念です。
私も関心を持っていましたが、具体的に考えたことはありませんでした。
最近の3か月の病院通いで、病院の空間の設計が間違っているのではないかと改めて痛感しました。
今の病院は「気をとられる空間」になっています。
しかし、病院こそ「気を育てる空間」でなければいけません。
医療の世界がパラダイムを変えなければいけないように(医学オリエンテッドから看護オリエンテッドへ)、
医療空間もまた、その設計パラダイムを変えるべきではないかと思います。
それに向けてのひとつのアプローチがホスピタルアートかもしれません。

時々、登場するワンダーアートプロダクションの代表の高橋さんが、いま、ホスピタルアートを広げていきたいと情熱を燃やしています。
相談にやってきました。
高橋さんはとても広い視野で、病院をもっと人間的な豊かな空間にしたいと考えています。
高橋さんたちが進めているホスピタルアートの企画書には次のように書かれています。

「私たちは、医療施設が患者の身体と共に心も癒す場となり、
地域社会にさらに親しまれる環境となるために、
アートを通じたさまざまな支援活動を展開しています。」

高橋さんたちはアートや環境教育などに焦点を当てた、ワークショップなどでは多くの実績を持っています。
先週もジャック・モイヤーさんと一緒にすばらしいイベントを開催されました。
アーティストたちとのネットワークも広いですし、ハードとソフトの空間デザインもお得意とするところです。
そのノウハウを病院に展開していきたいと考え出しているのです。
コムケア仲間にも、関心を持ってくれる人たちがかなりいそうです。少しずつ私も声をかけて以降と思っています。
ご関心のある医療関係者の方はぜひご連絡ください。高橋さんをご紹介します。

また動きをご報告できればと思っています。



■ 「かすたねっと」の折口智朗さんからのメール
(2003年7月7日)
もうひとつの新しい出会いです。
NPO法人立ち上げ中の「かすたねっと」の折口さんもホームページからの接点です。
折口さんが見てくれたのは、私がやっているコムケアセンターのホームページです。
折口さんは広島の人です。
岡山NPOセンターのホームページから、コムケア活動を知ってもらい、メールをもらいました。

折口さんが共感してくれたのは、「大きな福祉」と「コミュニティケア」です。
早速、組織のニュースレター「かすたねっと」Vol.4の文中に私が書いた「大きな福祉」「コミュニティケア」の記事を紹介してくれました。
「ボランティアとか福祉関係者が陥りやすいところを的確に表現されている」とコメントしてくれました。うれしいことです。

このホームページにもコムケアの考え方という形で再録しています。
お読みいただければうれしいです。

実はこの二つの概念を使うことに、当初は批判的な人が多かったのです。
すぐに賛成してくれたのは木原孝久さんでした。
「大きな」という言葉に引っかかって、「小さな福祉活動こそ大切」という人もいました。
全く矛盾しないのですが、人は「大きい」の反対概念が「小さい」だと決めつけてしまうのです。

「コミュニティケア」についても今でも批判があります。
しかし、コムケア活動で使っているコミュニティケア概念は全く独自のものだと自負しています。
概念整理をせずに、安直に使っている専門家が多いことに対する、私のささやかな批判なのですが、
それに気づく専門家やNPO関係者にはまだ出会えていません。
ちょっとまた余計な事を書きました。反省。

折口さんのホームページをリンクさせてもらいました。
まだ内容があまりないので良くわかりませんが、これからの展開を期待しています。



■ 花音(カノン)の吉田高子さん
(2003年3月27日)
花音は、大阪を拠点に活動している、音のボランティアグループです。
音を通じて、病んでいる人、疲れている人、困難を抱えている人をそっと励まし、癒し、心の支えになりたいと願い、人と人、誰かと何かを、音でつないでいくことを目指して活動しています。
今回のコムケア支援プロジェクトは、「音の文庫づくり」です。
朗読音声データをMD化し、医療・社会福祉機関などに寄贈したり、音声発声機能付きのホームページをつくったりしていこうとしています。
メンバーは全員、有職者ですので、忙しさの合間の活動ですから大変そうです。
しかし、吉田さんたちには大きなビジョンがあることを感じました。
活動内容はコムケアのホームページをご覧ください。
こうした活動を全国に広げていきたいと吉田さんは考えています。

問題もいくつかあります。
IT関連の専門家がいないため、録音媒体の制作やホームページ制作に関して苦労しているようです。
関西に在住の方で協力してもらえる人はいないでしょうか。
もしいたら、私に連絡をください。

とてもうれしいことですが、
花音はすでに同じコムケア仲間の「おんなの目で大阪の街を創る会」の小山さんたちと、
天王寺動物園の来場者向き音声ガイドなどのサポートを通じて協働していくことになっているそうです。
コムケアを通して、こうした関係が育っていくことは、一番大きな喜びです。

音は、私たちの生活において誰にでも関りのあることです。
皆さんの活動とも必ずどこかでつなげっています。
まもなく花音のホームページもバージョンアップするそうです。
ぜひ一度、見ていただき、アドバイスや応援をお願いできればと思います。

■ せたがや福祉サポートセンターの調査研究会への参加(2003年3月27日)
もう一つ、コムケア仲間の紹介です。
NPOせたがや福祉サポートセンター(LINK)のことは以前も紹介しました。
今年からの活動の一つとして、
「痴呆予防プログラムの実践的検証とその普及方法に関する研究」に取り組んでいます。

LINKでは、東京都老人総合研究会で開発されたプログラムをベースに、
「回想法」などの実践知や自分たちの体験知(LINKはさまざまなミニデイ施設を実践しています)を加えながら、
痴呆予防のプログラムを開発して行こうとしています。
もちろん、その実践方法も含めてです。

すでに、その準備として、世田谷区の高齢者関係の地域グループに対するアンケート調査も行っています。
東京都老人総合研究会の矢富直美さんなどをメンバーにした研究会がスタートしました。
私もコムケアセンターの事務局長として、参加しました。
今秋には「実践的な痴呆予防プログラム」の導入・実践マニュアルができますので、また完成したら、LINKから皆さんにご紹介してもらいます。
もちろん、このマニュアルは完成品ではなく、そこからどんどんみんなで育てて行く芽です。
私も、その芽が大きく育つように支援していきたいと思っています。
実践知や体験知は、大勢の人が共有し、みんなで育てていくことで、社会の知恵になっていくと思っています。

■ 患者の目からの病院評価に取り組む石井園美さん(2003年3月10日)
NPO Health Watchは一昨年のコムケアの資金助成先です。
利用者の目から病院のあり方を考えていくことで、病院を支援していきたいという思いから、病院サービス評価に取り組んでいるNPOです。
取り組むテーマが大きいので、心配していたのですが、やはりプロジェクトは難航し、残念ながら思いの半分も達成できませんでした。
市民活動はいつでも成功するわけではありません。

しかし、ここからが大切なのですが、その活動を構想した石井さんは諦めませんでした。
石井さんは、その後も構想実現に向けてしっかりと取り組んでいます。
今日は、その相談に来てくれました。

石井さんはすでに、病名別に全国の病院をつなぐホームページを完成して運営しています。
それを活かした患者が自由に病院に関する体験や意見や発見を話し合い、情報を蓄積していく、患者のコミュニティを作ろうとしているのですが、単なるネットフォーラムではなく、そこでの情報がデータ化され、編集されて、患者による病院評価情報バンクになる仕組みを考えています。
そのためのプログラム開発の費用がまだ確保されていないのです。
たかだか1000万円もあれば、それが実現します。
IT関連で湯水のごとく国家予算が使われていますが、そのわずかの一部を彼女たちに提供すれば、もしかしたらすごい社会資産ができるのですが。
個人の資産家でも、ぽんと出してくれれば、ことは解決です。
どなたか出してくれる人はいませんか。
この仕組みはもう少し時間がかかりそうですが、応援していきたいと思っています。
スポンサーを募集しています。

■ 地域福祉計画に取り組むコモンズ(2003年3月14日)
水戸に本拠をおいて活動している茨城NPOセンター・コモンズの横田能洋さんと赤津勝弘さんと意見交換させてもらいました。
コモンズのミッションは「茨城のNPO活動を盛り上げていこう」ということです。
コモンズとの出会いはコムケアです。
各自治体で「地域福祉計画」をつくることになったのですが(霞ヶ関は計画を作らせるのが好きです)、住民参加方式のモデルをつくりたいというプロジェクトにコムケアとして関わっています。
これはまさに私個人の関心事でもあります。

計画づくりに住民が参加することで、まちづくりへの意識が変わり、まちづくり活動の組織化も進みます。
完成した計画よりも、その過程こそが「まちづくり」である、と私は考えています。
横田さんも、地域福祉計画づくりという動きを活かして、NPO活動を広げたいと考えています。
もちろん、住民目線の地域福祉計画も大きなテーマです。
真剣に取り組めば、新しい「計画」のスタイルやあり方が見つかるかもしれません。
私は、美野里町のまちづくり計画で、常に見直され成長進化する「リングプラン」を実現したいと考えています。しかし、福祉の分野こそ、新しいモデルにはふさわしいでしょう。横田さんたちの活動に期待しています。

地域福祉計画は、各市町村で住民参加でつくられることになっています。
ご存知ですか?
関心のある方は、インターネットで検索して見て下さい。
厚生労働省の方針はとてもいいです。問題は、それをどう実現するかです。

住民参加と言う言葉は、行政の大好きな言葉ですが、その方法がまだ見つかっていません。
ワークショップなどの試みもありますが、まだ形だけのものが少なくありません。
それは発想の転換ができていないからだと思います。OBMと同じですが、発想の起点を変えないといけません。
組織起点ではなく、個人起点への転換です。
それができれば、行財政改革も実現するでしょう。

住民と一緒に地域福祉計画を作ろうと本当に考えている自治体があれば、ぜひ教えて下さい。
茨城県でなくとも、なにか応援できると思います。

ちなみに、コモンズは水戸市の五軒町にコミュニティレストランを開きました。
お近くの方はぜひ行ってみてください。
電話は029−233−6544です。

■ おんなの目で大阪の街を創る会訪問(2003年3月5日)
コムケア活動でお付き合いのあるおんなの目で大阪の街を創る会を訪問しました。
最近のプロジェクトの進捗状況や問題点をお聞きするためです。
このグループは、今、大阪の天王寺動物園を大阪市民のオアシスにしたいという大きな活動に取り組んでいます。
ちょっとむちゃだなあと、私は思っていましたが、小山さんや逵妙美さんの熱意に影響されて、応援しています。
今日は、小山さんが急に動物園との打ち合わせが入ったために、逵さん、酒井さん、川崎さんの3人とざっくばらんな意見交換をしました。
これまでに様々な活動をしてきています。
ゲストを呼んでのワークショップやかなり膨大な市民アンケートも行っています。
いま、アンケート調査をまとめている最中です。ちょっと負担がかかりすぎて、大丈夫かなと言う心配もあります。
市民活動は多くの場合、長い継続と柔らかな広がりが大切です。
がんばりすぎてしまうと、そのいずれにも影響が出てきます。
女性たちの活動は、ともするとがんばりすぎて、中心にいる人たちだけが突出してしまい、狭い仲間主義になり、そのあげくに義務感が高まって瓦解してしまうこともあります。
そうしないためには、楽しむ姿勢が必要です。
楽しくやっているところには、人が集まるものです。
NPOのパワーの源泉は、楽しさではないかと私は思っています。

幸いにこのグループは、みんな楽しくやっているようです。
テーマのおかげかもしれません。

天王寺動物園が、市民のオアシスとして、どう発展していくか、楽しみにしていて下さい。

■ セルフ・ディフェンス講(2003年3月5日)
ガーディアンエンジェルスという、地域安全パトロール活動を行っているグループがあります。
アメリカ発祥の運動です。
そのメンバーである、木谷和宏さんは、そうした活動の経験を踏まえて、犯罪被害防止のためのマニュアルをまとめたいと考えて、研究グループ「セルフ・ディフェンス講」を立ちあげました。
その活動をコムケア活動ではささやかに支援しています。

木谷さんにお会いして、彼の思いを聞かせてもらいました。
木谷さんは、「犯罪は弱い人たちにどんどん向かっていく」、そして「人は置かれている状況によって、やっていることや気持ちが変化していく生き物」と考えています。
この点で、まさに私が考えるコミュニティケアにつながっています。

私がコミュニティケアの問題を考える時に、いつも思い出すのがニューヨークの地下鉄です。
ニューヨークの地下鉄は犯罪が頻発し、怖くて乗れないと言う話がありましたが、1990年ごろを契機に犯罪は激減して行きます。
その出発点は、駅構内の落書を消した活動だったそうです。
そして、ニューヨーク全体の犯罪もまた、激減したのです。
このことが、私のコミュニティケア論の基本にあります。

この根底にある考えが、「割れた窓理論」です。
割れたまま修理しないで放置されている窓があると、それがいつの間にかその地域を無法状態にさせてしまうと言う理論です。
これは日常生活でも良く体験することです。
逆に窓をきれいにしておけば、気持ちのいい町に発展して行くわけですが、この理論で公園をきれいにした事例や業績を回復した企業の事例はたくさんあります。

木谷さんは、割れた窓をなくしたいと考えています。
そのために、まずは第一歩を踏み出す決意です。
私の思いと重なっていることが分かり、とても嬉しい出会いになりました。
またこの活動は報告させてもらいます。

■ VOL−Netの伊藤さんと曾我さん(2003年3月6日)
乳がん患者のQOL(生活・生命の質)向上を目指して活動している「声を聴き合う患者達&ネットワーク「VOL−Net」のディレクターの伊藤朋子さんと曾我千春さんにお会いしました。コムケア活動の関係です。

コムケア活動で、さまざまな人たちと意見交換させていただいていますが、毎回、感動と大きな発見をもらいます。
ハンディを与えられることは、パワーをもらうことでもある、と私は考えています。
もっと
もこんなことはあまり無責任には発言できません。
しかし、私はハンディとパワーはコインの裏表に思えてなりません。
逆に言えば、才能やパワーはハンディでもあります。
お金もそうで、お金も幸せと不幸をもたらします。
すべては両面を持っています。
もっとも私は、才能やお金がもう少しあればいいなとは思っていますが、それはまだそれがもたらす不幸を経験していないからかもしれません。

それはそれとして、伊藤さんや曾我さんの構想を聞かせてもらいました。
共感できます。応援したいと思います。
テーマがテーマだけに応援しにくいのですが、何ができるかをもう少し考えて見たいと思っています。
もしお時間があれば、みなさんもどうぞVOL−Netのホームページを読んで下さい。

■ 福祉の世界の不幸さ(2003年2月27日)
北九州市に行く途中で、筑紫野市でグループホームを経営している梅川康さんに会いました。
福祉を学ばれている針久美子さんも一緒でした。
梅川さんはコムケア活動にも参加してくださり、このホームページともリンクされていますので、ぜひ見てください。
忙しくてホームページを更新する時間がありませんので、更新は進んでいませんが。

梅川さんは日本福祉大学で福祉を学びました。
みんな大学では志高く理念に燃えて福祉の現場に出て行きます。
しかし、そこで待っている厳しい現実のなかで、理念が失われがちな先輩たちを見ているうちに、志を実現するためには自らが会社を作らなければダメだと考え、有限会社を設立しました。
それが有限会社グループホーム縁側です。
「縁側」という名前に彼の理念が込められています。
かなり無謀です。無謀は若者の特権です。

厳しい現実といいましたが、もしかしたら「不条理な現実」といっていいかもしれません。
今も公益法人改革の動きが進んでいますが、これもまさに不条理です。
なぜかといえば、すべてが現場不在で進められるからです。
会社は設立したものの経営は難しいです。
有限会社にしたために、行政や助成団体などからの支援もとりにくくなりました。
NPOなら自動車や機材の寄付があったかもしれませんが、有限会社では同じ仕事をしていても不利なのです。
幸いに専門家たちの支援があるようですが、彼の生活がいつまで持つか心配です。

梅川さんはまだ独身で、両親の家にいますので、なんとか活動が継続できていますが、ご苦労をされています。
福岡県の方、どなたか応援してくれませんか。
すごくいい活動をしています、それに心が優しいです。

一緒に来た針さんは福祉系の大学で学んでいます。
今年卒業ですが、実習にいった授産施設に勤めるそうです。
そこでの実習がとても感動的だったからだそうです。
しかし、まだまだそうした施設で働く条件は厳しいものがあります。


本当にまじめで、いい仕事をしたいと思っている若者たちの、これが一つの現実です。
どう思われますか。私は、こうしたことを変えていくことが構造改革だと思います。
難しい議論はどうでもいいのです。役所の組織や社会の制度を変えることなど、瑣末なことです。
まず、現場の人が元気になるように、私たちの意識構造をかえましょう。

こうした若者を応援することは誰でもできるのです。
もし梅川さんを応援してくれる人がいたらご連絡ください。
異例のことですが、寄付を受け付けます。
自動車もどこか寄付してくれませんかね。

■ 湘南メディア・ビレッジプロジェクト(2003年2月17日)
湘南メディア・ビレッジプロジェクトの代表石元龍太郎さんと、プロジェクトの進め方に関して、意見交換しました。
コムケア活動の仲間なのです。
石元さんたちは、「地域の問題解決や人のネットワークづくり」を目指して、「WEB湘南市民テレビ局」の開局に取り組んでいます。
そのために、すでに住民ディレクター養成講座を3回開催し、その仲間たちと一緒に番組制作を進めています。
CATVにも乗せていく計画です。

市民がブロードバンドのメディアを持つことは大切なことです。
米国では、CATVを軸にした、パブリック・アクセス・テレビへの挑戦は20年以上前から盛んです。
しかし、日本では残念ながら、CATVは育ちませんでした。
構想力の問題だったと私は思います。
むかし、ハイ・オービスという、双方向テレビの実験が始まった時にすぐに見学にいったことがあります。
感激しました。これからのまちづくりに向けて、大きな期待をもちました。
しかし、なかなか育ちませんでした。
いや、全く失速したとしか思えないのが実際です。

地方新聞にも大きな期待をした時期がありますが、だめでした。
なぜでしょうか。
全国レベルのメディアも必要でしょうが、それだけでは不十分です。
なぜみんなもっと地方メディアに目が行かないのでしょうか。
地方新聞社の人の意識も問題です。
もっとビジョンを持って欲しいです。面白い時代なのですから。

そうした時にあらわれた、インターネット。
石元さんたちの活動に期待しています。
彼らはまだ大学生です。かなり頼りないところもありますが、こうした若者たちが時代を開いて行くのでしょうね。
3月に、現地に行って、彼らとワークショップをやることにしました。

■ NPO法人イー・エルダー(2003年2月17日)
イー・エルダーは、中古パソコンのリサイクルと効果的な活用に取り組んでいる団体です。
テレビや新聞で盛んに取り上げられていますので、ご存知の方も多いでしょう。
中心人物の鈴木政孝さんは、朝日新聞の「ひと」欄でも取り上げられ、今や有名人です。

鈴木さんとは、10年以上前からのお付き合いです。
以前も書きましたが、フィランソロピー研究会のメンバーでした。
当時、10社程度の企業の人に参加してもらって、2年くらいやりました。
鈴木さんはIBMの社員でしたが、当時から自分の問題として取り組まれていました。
単なる職務としての取組みではなかったのです。
鈴木さんたちは、いま、障害者施設にPC再生作業をやってもらうというプロジェクトに取り組みだしました。
このモデルが成功すれば、全国の作業所への展開も可能となります。うれしいことです。

この活動は「事業型NPO」の典型ですが、この分野でも新しいNPOモデルになるのではないかと期待しています。

鈴木さんがなぜこんなにがんばれるのか。
その秘密のひとつは、パートナーでした。
久米さんといいます。久米さんは、これからのNPOは「運営」ではなく「経営」しなければいけないといいます。
同感です。運営と経営は全く違います。
これに関しては、私も以前、保育園の経営に関して書いたことがあります

今日は、鈴木さんと久米さんにお話をお聞きしましたが、イー・エルダーのこれからの展開が楽しみです。
新しい事業計画も進んでいるようです。

NPOのマネジメントに関する、鈴木さんたちのノウハウをぜひコムケア仲間にも広げていきたいと思っています。

■ 視覚障害者との同行映画鑑賞会(2003年2月2日)
バリアフリー映画鑑賞推進団体 City Lightsは、視覚障害者に映画を楽しんでもらおうという思いで、様々な活動を展開しているボランティアグループです。
 その同行映画鑑賞会に参加させていただき、私も映画を楽しむと同時に、視覚障害者のみなさんとの交流会にも出させてもらいました。
 会場は舞浜イクスピアリで、映画は「ハリーポッターと秘密の部屋」です。

あいにく、とても寒い日でしたが、集合場所の舞浜駅に到着したら、もうたくさんの方が集まっていました。
  私は、初めて参加された飯田清一さんの誘導係という役割までもらえて、楽しい1日になりました。視覚障害者の誘導は、初めての経験です。
 視覚障害者の方に映画を楽しんでもらうために、ていねいな音声ガイドをCity Lightsのメンバーが作成し、それをイヤホンで聴きながら映画の音声を楽しむのです。私も、みんなと一緒にイヤホンを使って体験してみました。なかなか良く出来ていて、画面だけで観るのとは、またちょっと違った楽しみ方ができました。
 音声ガイドを作成する苦労も伝わってきました。この映画はまだDVDでも発売されていないために、みんなで映画館に何回も通ってガイドを作成したのだろうと思います。
 私の隣で、飯田さんが、時々笑い声をあげたりしながら、楽しそうに鑑賞していました。飯田さんは、視覚障害が強まって以来、初めての映画だそうですが、また参加したいと喜んでいました。
 飯田さんにとっては、映画の鑑賞ももちろんですが、こうして様々な人に会うのがもっと大きな喜びのようです。ここでも「人と人をつなげていくこと」の大切さを、改めて実感しました。

City Lightsでは、月に数回の同行鑑賞会や予定していますが、それだけではなく、さまざまなノウハウの開発にも取り組んでいます。
 同会の活動や鑑賞会などの案内は、同会のホームページをご覧下さい。
 そして、ぜひまわりの視覚障害のある方にも案内してやってください。 きっと喜ばれますよ。

■ ワンダーアートプロダクション(2003年1月28日)
以前一度ご紹介したワンダーアートプロダクション(WAP)の高橋雅子さんと西村佳子さんがやってきました。
WAPはまだ任意組織ですが、2年前から各地で子どもたちを対象にしたアート体験活動を展開しています。
その活動の進め方について意見交換しました。

コムケア活動の関係で、さまざまなNPOや市民グループから相談を受けるのですが、本当に素晴らしい活動なのに、なかなか支援者が見つからない事が少なくありません。
私の価値観が間違っているのかもしれませんが、どうも今の世の中はお金の使い方が間違っているような気がします。
簡単に言えば、お金をいくら使っても本質は何も解決しない、目先の問題解決にしかお金を使っていないようです。
それこそが「市場主義」の経済システムなのかもしれませんが。
問題解決の場合は、予防型に比べて費用が大幅に高いだけでなく(産業と権力者やその周辺は潤いますが)、現場での仕事は楽しくなりません。

WAPは今年も、子どもとアートと環境教育という切り口で、面白いプログラムを企画中です。
パトロン募集中です。
応援して下さる方はいないでしょうか。心当りのある方はご連絡下さい。

しかし、これからの市民活動はパトロン依存型ではなく、自立した事業型になっていくのがいいでしょうね。
価値のある活動には資金はついていくものです。
そして、価値のある活動には対価を払って行くべきです。
そうしたコンヴィヴィアルな社会が、私の目指す社会です。

幡多昔むかし祭り(2003年1月25日)
コムケア活動の関係で全国のNPOや住民活動と接点を持たせていただいていますが、今週は高知県介護の会の活動に参加させてもらいました。
この会は、子どもからお年寄りまで、障害のある人もない人も、みんなが仲良く住み慣れた所で安心して暮らせる社会づくりを目指して活動しているNPOです。四万十川に面した中村市にあります。「集いの場 えびす」という、みんなが集まれる場所を拠点に、地域に根ざした広がりのある活動に取り組んでいます。

昔は、地域ぐるみの運動会や学芸会、映画の上映会や季節の祭りなど、みんなが集まって交流できる場がたくさんありましたが、最近は地域を通した交流が少なくなり、それと関連して伝統芸能も忘れられがちだという思いから、この会ではこの祭りを企画したのです。
この活動は住友生命社会福祉事業団の助成を受けて実現した関係で、その助成金の事務局であるコムケアセンターの事務局長として、今回、参加させてもらいました。
ちょうどこの日は私の地元の住民活動の日だったのですが、熱心なお誘いに抗しきれずに出かけました。正直なところ、あまり気乗りではなかったのですが、参加してとてもよかったです。すばらしい活動でした。

幡多地区というのは中村市を含む、この地方の名前だそうですが、今回は介護の会が中心になって、伝統食を再現し、みんなでそれを楽しむ第1部と伝統芸能を楽しむ第2部からなっています。その企画や運営を、地域の人たちがみんなで実現したのです。高齢者が主役といってもいいでしょう。その雰囲気の素晴らしさは感激的でした。高齢者の方々のホスピタリティは素晴らしいものがあります。まさにこれこそが地域の資源です。

伝統食を楽しむ会では、地域のお年寄りたちが中心になって昔ながらの豆腐作りやこんにゃく作りをしました。餅つきやサワチ料理、あるいはポン菓子など、昔懐かしい風景がにぎやかに再現されました。天気にも恵まれ、100人を超す人たちが参加し、会場は盛況でした。会場の集いの場は自動車道に面しているため、車で通りがかった人が、これは何ですかと立ち寄る姿もありました。料理ができた後は、屋外の駐車場にテーブルを出して、みんなでパーティです。実に和やかで、生き生きした場でした。こうした事を、お年寄りたちが中心になって実現したのです。

豆腐は昔の作り方の再現です。大豆を臼で挽いて、それを加熱し、豆乳とおからとに分け、豆乳に太平洋の海水を入れて、固めるのです。まだ形になっていないものを試食しましたが、いつも食べている豆腐とは似て非なるものでした。
こんにゃくも手作りです。固めるのは、昔ながらの灰什です。灰と言えば、籾殻の焼いた中での焼き芋もありました。この芋は、コムケア仲間のさわやか徳島の麻野信子さんから送られてきたものでした。こういう現場で、そうしたつながりに触れさせていただくことは本当にうれしいです。

他にも様々な伝統食が用意されました。お年寄りですら、こんな作り方は久しぶりだと懐かしんでいました。この中村市ですら、伝統食は過去のものとなってきています。食は文化の基本です。ここにこそ、もしかしたら全ての問題の根っこがあるのかもしれません。

その素晴らしさをうまく表現できないのが残念です。改めて、大きな福祉に関する、私の仮説に確信がもてたような気がします。中心になって動いてくれた豊永美恵さんに感謝しなければいけません。ありがとうございました。

この集いでたくさんの人に会いました。
高知県介護の会の理事長の荒地平さん、事務局長の渡辺稔さん、高知県庁の橋田寿人さん、豆腐作りの名人、上田さん。大道芸の間六口さん。そのほか、名前はお聞きしませんでしたが、たくさんのお年寄りたち。そして高校生や中村市の住民の皆さん。本当にありがとうございました。伝統芸能の部には出られませんでしたが、たくさんの刺激をいただきました。

■ 二つの出会い
幡多昔むかし祭りでは沢山の出会いがありましたが、不思議なことに、その往路でも帰路でも、嬉しい出会いがありました。不思議な縁を感じます。

まず往路の出会い。高知空港に到着するのが遅い時間だったので、空港まで迎えに来てもらいました。空港から中村市まで130キロ以上あるのです。途中にある窪川在住の八木雅昭さんが、準備で忙しい豊永さんに代わって、やってきてくれました。もちろん私たちはお互いに面識は皆無です。
八木さんとの偶然の出会いは、私にとっては偶然とは思えない嬉しい出会いでした。

八木さんは郵便局の職員ですが、窪川町ボランティア連絡協議会の会長です。協議会の誕生から発展の経緯をお聞きしました。とても感激しました。まさに自然な育ち方をしているからです。八木さんは他にもさまざまな活動をされています。高知県の各地のボランティアのネットワーカーのお一人なのでしょう。豊永さんたちの活動のサポーターでもあるようです。八木さんとは1時間半くらい自動車で一緒でしたが、すっかり話が合ってしまいました。八木さんは、コモンズの回復を実践されている方です。霞ヶ関の人たちにこうした動きをもっと知ってほしいものです。現場は常に理論より選考しています。
ちなみに窪川からは、豊永さんと渡辺さんの自動車に乗り継いで、また1時間半でした。ホテルに着いたのは真夜中の12時です。ホテルは四万十川のほとりですが、真っ暗で見えませんでした。

帰路でも出会いがありました。時間の関係で帰路は電車で帰りました。偶然に隣り合わせた人が、今日の集いを新聞で読んで、職場の人に参加を勧めていてくれました。
同じ中村市にある高知県知的障害者育成会の福祉工場の施設長をされている、山沖美枝子さんです。社会福祉士の受験のために高松まで行くところでした。小規模作業所や授産施設と違い、福祉工場では労働関係法規が適用されるため、なかなか運営は難しいでしょうが、これからますます重要な役割を果たしていくだろうと思います。
山沖さんには、ぜひ豊永さんとお会いするように勧めました。人のつながりこそが、世界を変えて行くと、私は思っています。もちろん「ペイ・フォワード」も、大切ですが。

■ リンク(NPOせたがや福祉サポートセンター)との意見交換(2002年11月28日)
コムケアセンターの調査研究支援プログラムのひとつが、「痴呆予防プログラムの実践的検証とその普及方法に関する研究」ですが、それに取り組んでいるのがリンクです。
リンクについては以前、このコーナーでも紹介しましたが、コムケアの理念と非常に重なった活動をずっと前から取り組んでいる、いわば私たちの大先輩です。
その代表の光岡明子さんと、この研究活動の進め方について意見交換しました。
具体的な進め方に関しては近日中にコムケアのホームページに掲載しますが、リンクが展開しているいくつかのフィールドを活用して、実践的なプログラム開発が進められる予定です。
その成果は、ぜひともひろく全国に発信していきたいと光岡さんたちは考えています。
「痴呆予防」という言葉を使っているため、問題解決型の取組みと受け取られるかもしれませんが、そうではありません。
むしろ、「生活を健やかに楽しくしていくための支援」というような意味で、生活者視点での取り組みガ光岡さんたちの基本姿勢です。
私もそこに大きな共感をもっています。
観察者的な関わり方は、コムケア活動としては避けたいところです。
この活動には、ささやかに関わっていこうと考えていますので、また報告して行きますが、このテーマに関心のある方はぜひご連絡下さい。

光岡さんとは、このプログラム以外でも少しお話しましたが、企業の人たちに少し分けてやって欲しいほどの元気を持っています。
時代の息吹を実感しているからでしょうか。私たち、男性ももっと元気に活動しなければいけませんね。

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