■メッセージ12:ペイ・フォワードの実行をしてみませんか〔2003年1月1日〕

2002年は私には少し苦しい年でした。
善意(まあ、私の独善的善意なのですが)から始めた事が、思わぬ問題を発生させたり、私の不手際から家族や友人知人に迷惑をかけてしまったり、いろいろありました。
そのせいか、ちょっと元気がなかった年です。
歳のせいかもしれませんが、どうもそれだけではなく、自らの生き方の「間違い」にも気づくと元気はなくなりますね。
昨年、61歳になりましたが、還暦を超えて初めて、自らの生き方の問題に気づくのは、恥ずかしい限りですが。
以前から
友人たちに指摘されていたことですが、自らの常識のなさと人間的欠陥を痛感した年でもありました。
反省しなければいけません。

その原因は、やはり私の生き方の中途半端さにあるのかもしれません。
そこで今年は、もっと意識的に生きる事にしました。
言行一致を強めると言うことです。そうしてきたつもりですが、まだまだです。
ここでのメッセージの内容も、もっと実行を意識したものにしていきます。
実行しなければ、どんな知恵も思いも意味がないからです。

今年最初のメッセージは、 2000年に話題になった映画のメッセージへの参加です。
メッセージを出すことも大切ですが、他からのメッセージを引受ける事も大切です。
私には、その視点が少し欠落していました。共感だけでは意味がありません。

「ペイ・フォワード」。ご覧になった方も多いと思います。
主人公の子供が、学校の宿題で考え出した「世界を変える方法」です。
彼はそれを実行しました。そして世界が変わりはじめました。

その方法は、まず困っている3人の人に具体的な「何か」をしてあげることです。
そして、 その3人には、もし感謝してもらえるのであれば、そのお返しを別の3人にまわしてやってほしいと言うことです。
その「合言葉」が「ペイ・フォワード」。前払いです。

そうやって、善意の行動が「ねずみ講」的に広がれば、世界は変わります。
そして、その成果がペイ・フォワードの代償として自分にもまわってくるのです。

これは現在の政治や経済の原理とはベクトルが反対です。
以前に書いた小論から引用させてもらいます(「企業変革のためのコミュニケーション戦略」)。

冷戦時代の米国とソ連の姿勢は核抑止理論による軍拡だった。自らの核戦力を増強することにより相手の核兵器使用を封じ込めていく発想(エスカレーション理論)は、結果としては相手の核兵力増強を引き起こし、両国は際限のない軍拡競争に陥った。大規模な戦争は回避できたが、そこから生まれたものは少ない。
最近の動きは、逆に一方的削減(オスグッド理論)による軍縮である。まず自らが軍縮することにより相手からの信頼を高め、相手の軍縮を引き起こす発想である。
いずれも自らの変化(軍拡、軍縮)が相手の変化を引き起こすわけだが、その変化の方向は全く異なる。そこから出てくる結果も大きく違う。自らの変化の方向が相手や状況の変化の方向を決めるのである。世界は自らが変わる方向に変化していくものなのだ

ちなみにこの小論は、このホームページに転載しています。
企業のコミュニケーション活動に関わっている方はぜひお読み下さい。
1991年に書いたものですが、企業のコミュニケーション戦略は私の思いとは全く正反対の方向に進んでしまいました。
それが近年の企業の不祥事や元気のなさと無縁ではないと私は思っています。
経営コンサルタントや経営学者の責任も重いでしょうが、企業経営者の責任は大きいです。

話を戻します。
最初の一歩をどう歩き出すか。これが大切です。
今年の第一歩は、まずはペイ・フォワードしていくことにしました。
世界が変わる第一歩を私も踏み出します。
みなさん、ご一緒しませんか。
困っている事の手助けは、誰でも必ずできるはずです。

「ペイ・フォワード」の一言も忘れませんように。
世界は自らが変わる方向に変化していくものなのです。
それこそが、個人から発想する時代(メッセージ6)の特徴でもあります。


私に何かできる事があれば、ご連絡下さい。
お役に立てれば、とてもうれしいです。