年賀状2003からのご紹介

今年の年賀状で寄せられた情報の中から、ぜひみなさんにも知っておいていただきたいものを5つ選んでご紹介します。すべて私信ですが、それぞれご本人の了解は得ています。
私も可能な範囲で応援して行く予定です。みなさんもぜひ応援して下さい。

医療制度の実態を学び考える会を始めたいと思います。

済生会栗橋病院外科の本田宏さんについては、昨年のホームページで何回かご紹介した事があります。医療制度研究会を主宰されています。私は運良く2回、お話をお聞きする機会がありました。日本の医療制度に関する誤解にも気づかせていただきました。
その本田さんの思いです。

 「益々現場の医療環境が厳しくなり、精神的に追い詰められてきているというのが悲しい現実です。
 診療報酬が引き下げられ、より一層の薄利多売が少ないマンパワーで要求されています。無理をして事故を起しては元も子もないし。まさに前にも後ろにもへたに進めずに、ガダルカナル島の兵隊さんの気持が今になってよくわかるようになりました。
 本来、日本がめざすべきものは、土建国家ではなくて、「医食住足りて礼節を知る」国と思っていたのですが、政治を動かしている力はまったく別の方向を見ているようですね。
 諦めずに今年も啓発活動をしていきたいと思っていますが、新聞に投稿してもボツにされる現実では私達の活動範囲はかなり限られています。といって種々の会合に参加する余裕も上記の理由で狭まってきています。ただどうにかしなければというのが現場の感想でしょうか。」

昨年、医療費の本人負担が増えました。しかし、実際にはその負担増は現場には届いていないようです。現場から遠い所で、制度が決められているのが、多分、その理由です。私たちは現場で生きていますが、そうでない人たちが、この国を決めているのです。どうしたら、それを変えられるのか。田中秀征さんは、1月5日のテレビで、今年はきっと日本人も怒り出して、事態が変わるだろう、と話していましたが、怒りではたぶん事態は変えられないでしょう。

本田さんにメールをしたら、こんな返信がありました。

「今日は仕事始めで外来(午前のみ)の予定でしたが、急性虫垂炎(盲腸)患者さんが二人いらして今お一人目の手術が終わった所です。これからもう1人の方の手術です。
 このような状況ですので、なかなか現場からの定期的な啓発活動は容易ではない面もあるというのが実情です。これは日本の救急医療体制が不備(これもマンパワー不足や診療点数が低い等の問題が関係しているのですが)で本来は救急専門ではない現場の私達外科医が胃癌や大腸癌等の予定手術や外来以外にも、地域の中核病院として救急患者さんにも対応しなければならないからです。
 しかしそれを活動ができないと言う理由にしてばかりはいられません。もし皆さんの勉強会等で(毎回参加とはいかなくても)話題提供や講演等のチャンスを与えて頂けるようでしたら、ぜひ声をかけてください。
 このような貧困な医療現場の問題は広い目で見れば、私達医療関係者だけが悩むべきものでなくて、そのサービスを受ける国民自身が声を上げていくべき問題だと考えています。そしてそうであれば私達の活動もさらに意味を持ってくるでしょうし、大きく政治を変える力にもなっていくのではないでしょうか。」

みなさん
まずは医療制度を勉強する会を始めませんか。隔月くらいで、東京で開催し、並行してメーリングリストで意見交換したいと思っています。参加して下さる方のご連絡をおまちします。今年最初の研究会の立ちあげです。ぜひご参加下さい。また関心をお持ちの方がいたら、ぜひお誘い下さい。3月上旬に準備会を開催する予定で進めます。
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■荒廃した農地を蘇らせる応援をしたいです
次は福島県で長く農政に関わっていた佐藤弘子さんの思いと決断です。

「私も、穏やかな元旦を迎えることができました。スローライフ、スローフードなどと、頻繁に耳にするこのごろですが、誰もが「質」を高めたい!確かめたい!と願っていることはまちがいないようです。少しお金はたりないけど、自分でちょっと工夫するとすごい価値が発生する。誰のためにでもない自分のために、そして少し皆さんの為になっている。そんなささやかな醍醐味が、家族を喜ばせ、地域が元気になり、そこに生きている人々が、他に掛け買いのないものを得、そこに生きている事にこだわれる。そんな生活が出きるよう自己変革をしようと思って、昨年から少しずつ密かに計画実行しております。
 それは、私の両親が、戦後開拓農民として、命のすべてを燃焼させた思いを、時代の流れで風化しそうになっている状況をみて、我慢ができなくなりました。一鍬一鍬耕した畑や田が荒れていきます。誰も耕すものはない。金にならない。農業では食っていけない。跡取りもいなくなり、萱野の荒れた様、雪景色の中に、金色狐がつがいで茅の間から顔をだす。親たちは、子を育てるため、明日の食べる米もない中で、明日の農業を仲間達と熱く語り生きた。貧しくとも崇高な思いは、今の現代人には失われている。勿論自分にも失われつつあることに気づきました。
 奮起一転、荒れた農地の再整備を、農作業や森林作業を通じ、自然と共生する楽しさや大切さを、両親の思いを自分の命のルーツにしっかり加えようと思いまして、企画実行中です。開拓に生きた両親の苦労や思いに匹敵することはできないけど、生きる大切さの一頁を・・・・・と思っています。今年の夏には、交流宿泊も出きる建物が完成の予定です。建物の名称は、亡き父と母にとって、「子や孫達」がただいま考案中です。佐藤先生にも、機会があれば是非お越し頂きたいと思います。
 そういう意味では、私も、県職員という立場ではありますが、自分の生活を「スローライフ」風に設計して見る年にしたいと思います。」

前段のくだりにまず共感するとともに、後段の決断に感激しました。私に何ができるかわかりませんが、それを少し考えたいと思っています。
 私は、農業に関しては全くの門外漢です。しかし、農業が積み重ねてきた知恵は、これからの社会にとっての大切な財産だという気がします。この数十年、私たちは農政といいながら、農業の工業化を進めてきました。それが間違っていたとはいえませんが、何かとても大きなものを失ってきたように思います。
 改めて農業から学ぶことが大切ではないかと思います。この思いは20年前からありましたが、どうやって取り組んでいったらいいか、わからずに何もせずに今日になってしまいました。ですから、ぜひとも佐藤弘子さんの構想を支援したいものです。

農業といえば、お恥ずかしいのですが、数年前に東久留米市で関わった研究会の時に書いた雑文を再録させてもらいました。よほどお暇の方はお読み下さい。

なお、この弘子さんプロジェクトに関してはまたご報告させてもらいます。何ができるかがわかりませんが、応援させてもらおうと思います。ご一緒する方がいたらうれしいです。
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■ 目黒区の区議会議員に立候補予定の木村勝隆さんを応援します。
木村勝隆さんのことは昨年もホームページでご紹介しました。生活者の視点で、政治の事を話し合おうと言う「わくわく政治談議」の代表でもあります。企業にお勤めでしたが、昨年、思い余って目黒区の区議選の補選に出てしまいました。結果は残念ながら次点でした。
 木村さんは生活をしっかり持った庶民です。たとえば、木村さんの今年の始まりはこんなものでした。私宛の私信の文面ですが、木村さんの了解を得て、紹介します。

「私の元旦はここ数年大体朝起きて、元旦の食事を摂るのが先か、近隣のスーパーに行くのが先かで始めるような、非常に"庶民的な"ものでスタートします。そして午後は近所の神社に初詣。その間、朝刊を数紙求めます。で、どういう動向かを読みます。一昨年になりましたか、日経の社員の方が言っておられましたよね、「今年の元旦の朝刊は良かった」とか。あんなのを一読者として感じたいわけです。
 テレビも"教養番組"を見たい思いでいます。今日はNHKの奥田・安藤対談を見ました。 安藤忠雄東大教授の「公共スペースの確立」論には賛意を得ました。環境立国を目指すべきとの発想も納得です。
 新聞を買いに行った帰りに近所のご夫婦に遭いましたが、"伝統的な"お出かけ姿でした。神社では地域活動の仲間が破魔矢等を販売しているところに遭遇しました。神社でお参りをするのに待つ列の一つ前の一家はお年寄りのご婦人、その長男と思われる50代か60代の方、その娘さんたち、もちろん奥さんもご一緒だったのですが、ご婦人をいたわる"長男"の姿や少し遅れてか、私たちの後ろに並んだ奥さんは一人何やらに目を通し、一家のあり方が想像されました。上品そうな長男でしたし、"ご婦人"でした。
 つまらない"こだわり"が私にはあるんですね。最近は随分なくなったと思いますが、もともとはかなりあったように思います。つまらないことを考え、実行に移すことが少なかった、と自分では思ってるんですね。しかし、それも自分ということだと思います。
町会の役員会に昨年から顔を連ねているのに、この間まで区議会議長をやっていた自民党区議から「あんたも役員なの」なんて今更言われることにも一々心の中で反応してしまいます。
 結構"血"も感じているんです。母は、家が39代続いている(祖父の代で)こと、そしてその祖父の連れ合いの自分の母が鳩山さんに可愛がられて共立に通ってたことなどを心の頼りのように、私は子供時代に聞かされて育ったんですね。そして勉強はするものでないという教えを"素直に"聞いたため、自分は頭が悪いと突然思って、勉強しなければならないと思った高校2年の時では遅すぎた、の思いを昨日のことのように思います。」

これが木村さんの素顔です。
木村さんは信頼できる人です。嘘はつかない事は私が保証します。つかない、というよりも、つけない人です。お金のために何かをする人でもありません。しかも社会のことをしっかりと考えています。それも生活者の目線、実践者の目線で、です。こういう人にこそ、私は政治の場に立ってもらいたいと思っています。

目黒区在住の方、そして目黒区に友人知人がいる方は、ぜひ木村さんの事を知ってほしいです。今年からは、わくわく政治談議の集まりも、目黒でやることになりました。引き続きご案内はこのホームページでも行いますので、ぜひご参加下さい。もちろん目黒区民でなくても歓迎です。

木村さんを応援したい方は、私にご連絡下さい。もちろん直接、木村さんに連絡して下さっても結構です。木村さんの人柄は私が保証します。政治嫌いの私も、今の政治状況にはうんざりしています。まずは、日本の政治を変える一歩を踏み出したいと思っています。ご一緒に一歩、踏み出しませんか。
  木村勝隆さんへのアクセス
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■ 自治体の職員のみなさんが変わりだしています。

「山形は大雪です。一面真っ白で、前後もわからないみたいです。
さて、景観研修についてということでしたが、ことの始まりは、山形の景観アドバイザーである堀繁先生からの、
『いい町をつくりたいなら、いい町を見なければだめ。
そして、多くの人がその経験を共有して、いい町とはどういうものかという共通認識を持つことが必要。もし良かったら、一緒にヨーロッパに行かない?』
という声がけのようです。
なぜヨーロッパかというと、堀先生いわく、「人中心」のまちづくりはヨーロッパに適わないからだそうです。

1回目はパリ、2回目は南フランス、3回目はスペインで、今回のイタリア同様、自費で年休で参加した県および各支庁の職員と、県の外郭団体である技術センターの職員が研修してきました。
県ではこの研修のレポートを各市町村に配布したり、研修成果の報告会に市町村職員を招いたりという活動をしており、興味を示した山形市(3人)と酒田市(2人)の職員が、今回は一緒に参加した次第です。今回の参加者は総勢23人でした。

現地では、毎日2万歩近く歩きます。
街中で、歩きながら先生が講義をします。
何がいいのか、何が悪いのか、自分が街で過ごしてみて、心地よいと感じるか否か。
街中でディスカッションをしながら学んでいきます。
夜は、皆でお食事です。
今日の感想などを話し合いながら、どんどん交流が深まります。
期間は8日間でした。

私は、この研修が大好きです。堀先生の講義が面白くて分かりやすいのももちろんですが、人の輪は確実に広がっています。」

山形市職員の清水めいこさんからのメールです。清水さんは現在、都市計画の仕事に取り組んでいますが、職員仲間と市民との共創活動にも取り組んでいます。
自治体職員が勤務の傍ら、大学院に通って世界を広げる動きも増えています。組織から「研修」されるのではなく、自らが 学んで行く。そうした動きが自治体の職員の世界でも広がっています。この研修旅行に自発的に参加する人が増えていることに感激しました。これから自治体は変わっていくでしょう。

清水さんは「風のまち」の住民です。風のまちは、昨年メーリングリストを立あげただけでしたが、メンバーがそれぞれに訪問しあう関係をつくるのも一案かもしれません。これをなげかけてみたいと思います。風のまちの住民の方、何か始めてみませんか。
 ちなみに、風の町への住民登録は、自治体職員であれば、誰でもできます。そうでない方も、これからの自治体のあり方に関心があれば歓迎です。気楽にご連絡下さい。
 風のまち事務局(佐藤修)へのアクセス

■富士山緑の輪に参加しませんか。

*今年の活動は現在ストップしています。
次の記事をご参照下さい。
2004年2月 渡辺さんからの連絡

最後は、富士山ナショナルトラストの渡辺健二さんからの年賀状です。

「この度、新たにNPO法人化も目標に『富士山緑の輪』が発足予定です。記念植樹を有料で行い、生育状態をインターネットで継続して見られるシステムをつくります。入会は10000円。会費は年間5000円です。ご支援いただければ幸いです」

今年の初詣は地元の子の神様に行きました。その境内から何気なく遠くを見ていたら、なんと富士山が見えたのです。それもかなり大きく、です。なぜか心が和みました。
富士山の偉大さを改めて実感しました。
 富士山は荒廃が進んでいます。そのため世界遺産にも指定されないようです。その富士山をなんとか元気にしたいと、渡辺さんは富士山ナショナル・トラストを立ちあげました。最近はだいぶ知名度も高まり、参加者も増えてきています。

今度は『富士山緑の輪』です。皆さん、参加しませんか。富士山はみんなの財産です。
詳しい事が決まったら、またご案内します。富士山ナショナル・トラストも会員募集中です。バッコヤナギを植える会など、沢山の楽しい行事もあります。
 佐藤修へのアクセス

今年の年賀状から、ぜひみなさんにも知っていただきたい事を5つ選びました。まだまだいろいろな話があるのですが、それはまた追々紹介させていただきます。
ことしも新しい物語がどんどん生まれていくのでしょうね。そうした事のいくつかに、ささやかにでも関われれば、と思っています。