全国食情報コーナー
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■ソバリエ
ソバリエの高倉正則さんの報告
「ソバリエ」とは、ワインのソムリエを文字ってつけた名称で、店の数だけ種類があると言われる、山形のそば案内人を養成し、山形のそば文化を高めていこうというものです。
1991年に始まった、「ソバリエ養成講座」は、山形ビューティフルコミッションという団体が実施しています。この団体は、山形青年会議所OBを中心に様々なジャンルの若者が所属している団体です。
山形のそばは、これぞ山形そばという典型がなく、田舎そばから更科までバラエティに富んでいるのが特徴です。
ソバリエは、この楽しさを多くの人に知っていただくために、自分の主観的な好みで山形のそばをうんぬんするのではなく、ソムリエのようにお客さんの好みや食べ物に合わせたそばを紹介できるよう勉強します。
一番の特徴は、一般にあの店はうまい、まずいしかない「巷のそば通」と異なり、どの店がどのようにうまいかを身につけることです。山形のそばを本当に理解するために、蕎麦屋さんが普段出しているそばの3分の一の量を提供してもらい、その食感が消えないうちに一気に半日で5軒の蕎麦屋さんをはしごします。それを日を変えて4サイクル、合計20軒の特徴ある蕎麦屋さんを回ります。そして、最終試験として、蕎麦打ちやお酒との組み合わせを勉強し、修了者には、認定書や盾とともにソバリエの称号を与えます。
そばについては、産地、歩合、つなぎの割合、水回し、のし方、太さや堅さ、香り、季節ごとの変わりメニューなど、つゆについては、醤油、だし、みりん、濃度・甘辛など、その他、薬味や蕎麦湯、漬物などに至るまで、その店の主人から秘伝の製法を伝授してもらい、店のロケーションから席数、貸切の有無、休業日までも取材します。
こうする中で、今までうまいとまずいしかなかったそばのスケールが、深みを増して広がり、そばとつゆの関係やのど越しの違いなどばかりではなく、蕎麦屋さんの情熱ともに多くのことが伝わります。そして、いろんな方に、山形そばの楽しみ方をご紹介し、山形の蕎麦屋さんが発展することで、私たち自身も多様でおいしいそばをいつでも楽しむことができるという環境を維持していくことができます。
したがって、ソバリエは、山形蕎麦の応援団になろうというものであり、蕎麦打ちを訓練して蕎麦屋さんよりうまい蕎麦を打とうなどと調子に乗ってはならないというきびしい掟があります。ソバリエ養成講座の費用も、三方一両損の手法で、ビューコ、受講者、そば屋さんが3分の1ずつ負担しあいます。蕎麦屋さんの発展が私たちの幸せなのであります。
ちなみに、ソバリエの誓いは以下のようなものです。詳しくは、山形ビューティフルコミッションのHPでも見ることができます。
<ソバリエの誓>
一、 そばを食べなくてはならない。(耳学問はご法度の事)
一、 そば通ぶってはいけない。
一、 何処のそば屋が一番うまいなどと口走ってはいけない。
一、 山形そばの案内人の自覚と誇りを持たねばならない。
一、 贔屓の引き倒しになるようなことをしてはならない。
一、 まだ食べた事が無いそば屋を発見したらすぐに食べること。