オープンカフェサロンへの思い
ブログ(CWS Private から転載)

■コモンズ空間としてのカフェサロン(2015年8月31日)
私は、東京の湯島に小さなオフィスを持っています。
そこで27年間、中断した時期はありますが、カフェサロンを開催してきました。
そのオフィスを開いたのは、1989年(平成元年)の8月ですが、その時、1週間にわたって、オープンサロンと称して、友人知人に可能な時間に立ち寄ってくださいと連絡しました。
25年間、会社に勤務していましたが、そこを辞めた挨拶も込めての案内でした。
その案内に応じて、のべ100人を超す人たちが来てくれました。
なかには毎日のように顔を出してくれていた人もいました。
その体験が、その後の私の生き方に大きな影響を与えました。
そして、オープンサロンは「事務所開き」という意味ではなく、「誰にも開かれた」という意味のサロンとして、一時中断もありましたが、今日まで続いてきているのです。

私のテーマは「コモンズの回復」です。
オープンサロンは、それともつながっていき、いまではさまざまなテーマやスタイルのカフェサロンとして広がっています。
そして、誰かが何かを情報発信したい時には、その仕組みを活かしてもらうようにもなっています。

一時期、オープンサロンには20人を超える人たちが集まっていました。
テレビ取材を受けたこともありますが、目的もなく、ただただなんとなく人が集まる場に育っていっていました。
しかし、一緒にやっていた妻が病気になり、サロンは中断されました。
そして、妻は8年前に亡くなりました。
もうサロンはやるまいと思っていたのですが、友人たちからサロン再開の要請があり、2〜3年ほどして再開しました。
しかし、やはり妻がいる時のようにはいかず、サロン開催を言っていた人たちも結局あまり来ませんでした。
言葉を真に受けてはいけないことを知りました。

その後、湯島に新たに来る人たちと話しているうちに、テーマを持った集まりを望んでいる人が多いことを知りました。
そして、テーマを持った話し合いのカフェサロンが広がりました。
最近は、シリーズ型のカフェサロンも数本あり、毎週のように湯島はサロンでにぎわっています。
またサロンによく参加する人たちのメーリングリストもできました。
ゆるやかなオープンプラットフォームネットワークに育っていけばいいなと思っています。
もしそういうものが育ってくれば、この湯島のオフィスもみんなに開放された、あるいはみんなでシェアするコモンズ空間になっていくかもしれません。
実は、それは27年前に私がコンセプトワークショップという会社を創設した時のビジョンの一つでもあるのです。
「コモンズの共創」です。

湯島のさまざまなカフェサロンで、世代を超えて、立場を超えて、いろんな人たちが、対等な立場で話し合う場を重ねていると、市民社会を生み出した公共的空間を体験している気がしてきます。
さまざまなテーマのすべてに私は同席していますので、私の世界はかなり広がりました。
そして、すべてのテーマはつながっていて、それを鳥瞰すると未来が見えてくるような気もしてきています。

長々と書いてしまいましたが、そんなわけで、このカフェサロンをもう一歩前に進めようという気になってきました。
そのためには、最初の原点に戻って、テーマのないオープンサロンをやはり基軸におこうと思い出しました。
長くなったので、明日また、この続きを書きます。

■オープンサロンを再開します(2015年9月1日)
最近、湯島に来てくださる人たちから、「こういう場がもっとあると言い」といわれることが増えてきました。

先日、10年ほど引きこもっていて、人へ信頼感を失っていた若者が来てくれました。
初対面でしたが、1時間くらいして、自らのことを話しだしてくれました。
私にとっては、感動的な瞬間でした。
初対面で、しかも湯島に来たのも初めての人です。
話し終わった後、自分でもどうしてこんなに話してしまったのだろうと不思議がっていました。

湯島のコンセプトワークショップは、実はそういう場所に育てたかったのです。
部屋の外のドアの表札には、こう書かれています。

Pax intrantibus  Salus exeuntibus

ご存知の方も多いと思いますが、ドイツにあるローテンブルグの古城に書かれた銘文で、「来る者に安らぎを 去りゆく者に幸せを」という意味だそうです。
時に失敗しますが、私はこの精神を大切にしてきました。
ただし、相手が肩書きや権威や権力を盾にしたり、私に合わせようとしているのがわかった途端に、その精神は反転して、その人を追い出したくなります。
そのため、不快な感じを受けて、二度と来なくなった人もいます。

へこんでしまった時、無性に誰かに話したくなった時、あるいは静かに過ごしたくなった時、気楽に立ち寄れて、そこに行くと安心できる場所が生活の身近にあると、人は強くなれます。
湯島をそんな場所にしたいと思いますが、もしそうであれば、テーマ別のサロンだけではだめでしょう。
先日来た若者は、目的もテーマもなく、ただ信頼する友人から、佐藤さんに会いに行こうと言われたので来ることができたと言ってくれました。
目的やテーマを、重く感ずる人もいます。
そうであれば、最初の頃のように、テーマも案内もなく、ただ決まった日に、そこに行くとホッとする気分になれる、そういう「オープンサロン」が大切です。
ちなみに、以前のオープンサロンは、毎月最後の金曜日の夕方と決まっていて、案内は一切していませんでした。
不定期開店ではなく、そこに行くと必ず居場所が得られる「みんなの空間」。
街のスナックやカフェがそういう役割を果たしているのでしょうが、湯島もそんな場所にできればと思っています。

そこで、改めて、そういう、テーマも目的もない、まったく無駄なカフェサロンを再開することにしました。
日程は平日の夜か休日か迷うのですが、日曜から試行的にスタートしようと思います。
覚えやすいように、毎月(1月を除く)、最初の日曜日の午後です。
誰でも歓迎です。
詳しくはまた具体的な案内を書きますが、その第1回目は9月6日の午後1〜4時を考えています。
もちろん出入り自由で、私は必ずいます。
珈琲も絶やさないようにします。
まあ数日後のことなので、最初はだれも来ないかもしれません。
でも一人だとさびしいので、気が向いたらお立ち寄りください。
案内は明日、また書き込みます。

■9月6日のオープンカフェサロンへのお誘い(2015年9月2日)
昨日予告した通り、次の土曜日の9月6日にオープンサロンを開催します。
テーマがまったくなく、ともかく気楽に雑談ができる場にしたいと思います。
話したくない人は、ただ黙って珈琲を飲んでいるだけでも結構です。

湯島ではさまざまなカフェサロンをやっています。
ちょっと知的なカフェサロン
ちょっとハードなカフェサロン
大きな福祉を目指すコムケアサロン
戦争反対カフェサロン
農業と福祉を考えるサロン
などなど、です。
しかし、時々、テーマがあると敷居が高いとも言われます。
決してそんなことはないのですが、初めての人にはそう感ずるのかもしれません。

このブログの読者に向けて呼びかけたこともあります。
まだ会ったことのない人たちと出会う場にしたいと思ったのですが、毎回不発でした。
会ったこともないと、やはり敷居は高いのでしょうか。

それで、またともかく気楽に珈琲を飲みながら、茶飲み話をするサロンを始めることにしました。
私は基本的に「聴き役」ですが、相談にも少しは応じられるかもしれません。
なにしろ70年以上も生きていますので。
参加申し込みなど一切不要です。
出入りも自由なので、気が向いた時間にお立ち寄りください。

○日時:2015年9月6日(日曜日)午後1時〜4時(出入り自由)
○場所:湯島コンセプトワークショップ
http://homepage2.nifty.com/CWS/cws-map.pdf
○ルール:お互いに気持ちのいい時間を過ごすように心がけること
○会費:500円(部屋にある箱に入れてください)
○今回の珈琲:モカ(私が淹れます)

今月は日曜日開催ですが、しばらくは試行的に日程を変えていきます。案内は私のホームページのお知らせとフェイスブックに書く予定です。

まだお会いしたことのない方にもぜひお会いしたいです。
近くに湯島天神もあります。
どうぞ気楽に遊びに来てください。
そしてみんなで、「みんなのホッとする場」に育てていければと思っています。

では6日に、お会いできますように。