■メッセージ7:間違いを犯すことよりも、間違いを隠そうとすることを恥じましょう〔2002/04/06〕

最近の政界はまさに混乱のきわみです。
なぜみんな、自分のことになると、間違いを認めようとしないのでしょうか。
無口になるのも不思議です。

最も効果的なコミュニケーションの方法は「弱みや失敗を見せる」ことです。
これは人間のような小賢しさのない動物の行動からも観察されています。

企業広報の父といわれるアイ・ビー・リーは「広報とは正直さだ」と考えました。
当時、米国の鉄道会社は事故に悩まされていましたが、鉄道事故が起きても評判が落ちるのを恐れて極力隠そうとしました。
しかし、彼は事故が起きたら積極的に開示し、新聞の取材も支援すべきだと主張したのです。
彼に共感した鉄道会社がありました。
事故が起こり、彼の主張どおり積極的に事故の実態をさらけ出し、取材を支援しました。
その結果、その会社の評判は高まりました。
しかも副次的な効果として、自己の責任や原因が明らかになり、事故の減少にもつながっていったといいます。まさに災い転じて福にしたのです。
これが企業広報の始まりです。 危機管理の極意です。
事故は必ず起こるものなのです。
隠す必要は全くありません。

日本の危機管理は「どうしたら損害を最小化するか」という発想です。
しかし、危機管理の本質は「どうしたら利益を最大化するか」なのです。
昨今の日本の企業や行政の危機管理は全くばかげています。
プラスに転ずるきっかけさえ作ろうとしないのです。

個人もそうです。
弱みをさらけ出せば、人は心を開いてくれます。
コミュニケーションが始まるのです。
信頼を回復し、解決策が見えてきます。

人は間違いをおかすものです。
政治家も企業人も行政職員も教師も、です。
行政の世界には無謬性の呪縛がありますが、そんな虚構はすてなければいけません。
にもかかわらず、みんな間違いを指摘されるとなぜか言い訳を始めま。
そして自分を閉ざしていきます。
最近の政治家は例外なくそうです。不思議です。
実態を正直に公表すれば問題は簡単に解決するはずです、
もし自分も知らなかったのであれば、素直に国民と同じように「知りたい」と思えばいいのです。
自分も弱い一人の人間だという思いを持てばいいのです。

政治家だけではありません。
私たちもきっと今の政治家と同じように、間違いを認めずに、弱みを隠しながら、醜く生きているのかもしれません。
生き方を少し見直すのもいいかもしれません。
せめて間違いをおかしたら、正々堂々と間違いを公表しましょう。
そして間違った理由を真剣に考えましょう。
きっと元気になれます。