■ メッセージ3:今が不況だ、などと考えることをそろそろやめましょう(2002/2/10)

不況型倒産が増えているようです。つい先日のテレビでも、不況の影響で福祉作業所の仕事がなくなり、障害者にもしわ寄せが出ているようです。地方のまちづくりにささやかに関わっていますと、そこで起きているゼネコンがらみの倒産の話もよく耳にします。

たしかに日本の経済は元気をなくしています。 しかし、だからといって、今が不況だと決めつける必要はありません。皆さんは今の日本を本当に不況だと思いますか。毎年、年初めのデパートに行って、無駄になるとしか思えない福袋を競って買っている人たちを見るにつけ、日本のどこが不況なのだろうかと、私はこの10年思い続けています。

そもそも不況とは何でしょうか。景気が悪いことでしょうか。では景気とは何でしょうか。ものの生産も消費もこれほどの水準でありながら、何を持って不況と言うのでしょうか。私は、今は不況などではないと言い切っていますが、この10年、賛同してくれる人に出会えていません。私の女房すらも、完全には納得していないようです。

まあ、そんなことはどうでもいいのですが、問題は、「いまは不況だから」という発想がもたらす弊害です。不況であることが不条理なことの口実になったり、問題を先延ばしにする口実になったりすることです。その結果、真実や未来への展望が見えなくなっていることです。皆さんも口実に使っていませんか。

ある辞書によれば、不況とは供給能力が需要を上回っている状況だそうです。その定義に従えば、確かに今は不況です。有効需要を増やすことが解決策になるわけですが、それでいいのでしょうか。需要拡大の口実で、私たちの税金がどれほど無駄に使われているかは枚挙の暇もないほどです。今を不況と決めつけることで、誰かが得をしているのです。

前年よりも経済活動が低い水準であることも不況の物差しになっていますが、この論は右肩上がりの発想を引きずっているだけの話です。そろそろ物差しを変えなければいけません。エコノミストはみんな、まだ右肩上がりが終わったと思いたくないのでしょうか。

今は決して不況などではないのです。今こそが正常だという認識から行動を起こすべきです。もうじき需要が増える、雇用の場が増える、株価や地価は上昇する、という無責任な期待はそろそろ捨てましょう。そんな期待から何か価値あることが生まれると思いますか。誰かに付け込まれて、世界をますます悪化させるのが関の山です。

不況などという言葉を軽々しく使うのはやめましょう。そして、今が正常なのだという認識で行動を起こしましょう。そうすることによってこそ、本当の豊かさや幸せが見えてくるように思います。

今が不況でないという意見に賛成の方はぜひ別項のフォーラムに投稿してください。もちろん反対の方も。

*冒頭の福祉作業所での仕事の現象や倒産による失業者の問題は深刻な問題ですが、この問題を解決するためにこそ、私は安直な「不況」論を超える必要があると思っています。またいつか論議させてもらいます。