コリアボランティア協会の紹介

詳しくは協会のホームページをご覧下さい

http://www1.mesh.ne.jp/~korea-v/

■ICUユネスコクラブ教育スタディツアー報告書(1995年5月)発行より抜粋

コリアボランティア協会は、1994年1月30日、大阪市生野区に設立された。代表 は、康秀峰(カン・スボン)氏。1948年に大阪で生まれた、在日朝鮮人の2世であ る。彼は物心ついたときから、小児麻痺の障害を持つ弟の世話をしたり、近所の子供たちの悩みを聞いたりする中で、「弱い者、傷ついた者を助けなくては」という思いが漠然と芽生えたという。また、彼自身も16才のときにリューマチにかかり、1年間 寝たきりになるという経験をした。それによって、漠然としたこれまでの思いは、 はっきりとした一生の夢へと変わっていった。  

日本の障害者に対する介護の現状は、ただでさえ行き届いていない。ましてや、在 日韓国・朝鮮人の障害者の現状はさらに劣悪である。戦後50年が経つにもかかわらず、在日韓国・朝鮮人への差別意識は根強く残る。「愛と経済のバランスが5対5で あればいい。しかし今の日本を見ると、愛と経済は1対9の割合で経済が勝っている。

だから、日本で一番足りなしのはボランティアだ。日本は経済を輸出しているけ れど、その分、愛を輸入しなければならない。」と康氏は言う。  

彼には、「差別と戦い、それに勝つには、愛を武器とするしかない」という信念がある。「僕は人間を信じてる。どんなに悪いやつでも心に訴えれば必ずわかってくれると確信している。だから、ガンジーの『非暴力、不服従』に、『愛の奉仕』という 新しい武器を加えたい。」そして、「僕は在日の痛みと障害者の痛み、そのどちらも を愛の奉仕によって伝えたい。二重の愛だ。いや、二重と言わず、三重でも四重でも いいけどね。」  

だが一方では、「なぜ、こんなに差別されているのに日本人にまで尽くすのか」と言って反対する在日韓国・朝鮮人の人たちもいる。そのような意見に対して康さん は、「国境はそもそも支配者が勝手に作ったものだから、国境を越えて世界に奉仕するのは当然。それに、我々がボランティアに取り組むことによって社会に貢献すれ ば、日本人が在日韓国・朝鮮人に対して持つイメージも変わってくるはず。そのこと が『共生』につながるだろう。在日というデメリットをメリットにしなくては。」と答える。「自分は在日だけど、これはもしかしたら日本のためにやっているのかもしれないよ。日本を良くしなきゃ、世界も良くならないしね。」  

康氏はまた、一人一人の人間の力がいかに大きいかと言うことを語る。「誰でも心の片隅に宝石の岩石がある。まずはその岩石を探すことだ。その手伝いならいつでも するよ。でもそれは探すだけでなく、あなた自身が磨かなければならない。そして、 一人の宝石は、1万人に輝くことができる。」康氏は輝く宝石を持つボランティアが もっともっと増えていくことが必要であると主張する。そして彼自身、「良いこと だったら何でもするよ。人のためだったら、自分からやぶれる。」と言って、その通 りに生きているのである。

現在、全国約200以上の団体がコリアボランティア協会への賛同を表明しており、 最大規模のボランティア組織となった。また、北側の関係機関である朝鮮総連(朝鮮 人総連合会)と、南側の関係機関である民団(在日韓国民国民団)も参加しており、 日・韓・朝の各種団体が共に取り組んでいる。まさに康氏のめざす「国境や人種、民族を越えた善意の輪」が広がっている。  

康氏の考える「善意の輪」は、国籍を問わない障害者への介護のみではない。様々な援助活動をも行っている。兵庫県南部地震が起きてから、「2年間は被災地に行 き、目に見えない苦しみが分かるよう、活動を続けたい」という考えに基づいて、炊 き出しなどの支援活動を行っている。さらには、アフリカ諸国、中国、インドなど、 世界各国へ物資を送ったり、現地を訪問して文化交流を行ったりしている。  

しかし一方で、資金の問題がある。現在、協会の運営費は、書道の師範でもある康 氏が指導する、週3回の書道教室の収入と、様々な人たちからのカンパが充てられて いる。従業員の月給は1万から5万円だそうだ。介護、援助のためにはどんな高い金額が必要になろうとも厭わないという姿勢で活動してはいるものの、資金不足の問題 を抱えている実情は否めない。そこで協会では広くカンパを募っている。  

最後に康氏が一言。「自分の宝石を探してみたかったり、人生に息詰まってどうし たらいいか分からなくなったとき、いつでもここにおいで。連絡も何もせず突然来て もいいから、何日かここに寝泊まりして、僕の話を聞いたり、彼ら(ボランティアの メンバーたち)と一緒に活動したりすれば、きっと大事なものが見えてくる。」

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