■金井壽宏 『働く人のためのキャリア・デザイン』 PHP新書 780円

金井さんとの最初の出会いは、13年ほど前のある研究会でした。何回かお会いするたびに、それまでお会いした経営学者とは全く異なる生き生きした感受性と軽やかな自己主張に触れて、経営学者に対するイメージが変わったのを今でも鮮明に覚えています。その後、なかなかお会いできませんが、最近あることで電話をさせていただいたことで近著を送ってきてくださったのです。

キャリアデザインについては、私も数年ほど前に高齢社会に関連して、ある仕組みを考えたことがあります。その構想はいつもの事ながら頓挫しましたが、その時も金井さんの本や訳書を読ませていただきました。今回は、そのテーマに、金井さんご自身の生き方を視座において、正面から、しかもわかりやすく、お書きになっています。ですから、しっかりと金井さんのメッセージが伝わってくる本でもあります。

金井さんが重視するキャリア・デザインとは「人生の節目に自分を見つめ直し将来の方向性をじっくり考えること」です。私のオフィスにも、自らの生き方について雑談に来る人が多いので、これからはこの本を勧めるつもりですが、皆さんにもお勧めしたいと思います。自分の生き方について、示唆されることがたくさんあります。